短編2
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赤いワンピースの女

「遊びすぎた…」

今日は友人とずっとカラオケBOXで熱唱していた。

喉が破滅している。

デスボイスと化した俺の声が、そう物語っていた。

時計は午前12時を指している。

「マジかよ12時なのにこの暑さとか…」

熱帯夜だ。

まるで砂漠にでもいるような錯覚に襲われる。

「早く帰ろう…」

額に滲んでいた汗を拭い、俺は我が家と言う名のオアシスへと足を急がせた。

家がすぐ近くに見えてきた時、俺は傍に人の気配があることに気付いた

「ん…?」

電柱の影で、赤いワンピースを着た女が立っていたのだ。

「変だなぁ…女性がこんな夜遅くに一人で…」

そう思いながらも俺はそこを通り過ぎた。

「………?」

女が後を付いてくるのだ

俺の足は自然と早足になる。

すると女もそれに呼応するかのように速度を上げた。

(俺の後を付いてきてんのか…?)

俺はつい後ろを振り向いてしまった。

(な、長袖………?!)

女は長袖のワンピースを着ていた。

この暑さでの長袖は明らかにおかしい。現に俺は半袖半ズボンだというのに汗が止まらないのだから。

そう思った瞬間

俺の危機察知能力が働き、駆け出していた

「…………っ……!!」

またしても女が走って後を追ってくる

疑惑が確信へと変わる

俺は命の危険を感じた

その女の走る速度は驚くほど速く、人間とは思えなかった

それでも何とか女を振り切り、玄関の扉を開け急いで鍵を閉めた。

「はあ…はあ……助かった…」

ガチャッ

「!!!!」

なんと鍵が空いたのだ

「はっ!?ちょっ何で…」

しかし扉は開かなかった。

そう、俺の家の玄関の扉は、鍵をかける所が二ヵ所あり、念のためどちらにも鍵をかけておいたのだ

ガチャッ

その二番目の鍵もあけられた

(ヤバイやばいやバイヤばい!!!!!)

俺は急いでひとつ目の鍵を閉める

すると女がひとつ目の鍵をあける

俺は急いで二番目の鍵を閉める

女が鍵をあける…

それが十分程続いたが、遂に均衡が崩れてしまった。

俺が鍵を下に落としてしまったのだ

(やべっ!速く鍵をっっ!!)

ガチャッ

全ての鍵があけられ、扉が開いた

母さんだった

怖い話投稿:ホラーテラー ニャージさん  

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