中編3
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死してなお

私が高校2年生の時に起きた話です。私とA子はいつも一緒にいました。A子はとても可愛くて性格も良かったのでクラスでも人気があり、特に男子からの人気は凄いものでした。さらに父親が社長のためお金持ち、天は二物を与えずと言いますがA子には与えてくれたようでした。

そんなA子ですが今まで彼氏が出来たことがありません。いや、出来ないというかまったく長続きしないのです。その原因は父親にありました。A子を小さい頃から溺愛していた父親の愛情はA子が大きくなっても無くなりませんでした。A子に彼氏ができても、すぐに別れさせてしまうのです。

チャラチャラしている。礼儀がなっていない。育ちが悪そうだ。家が貧乏だ。

父親は決して認めることはありませんでした。そういう経緯もあってかA子自身も恋愛に関して臆病になっていたのだと思います。

けれどA子も思春期の女の子、とうぜん恋愛がしたくなります。ある日、A子から彼氏が出来たという報告を聞きました。相手はすぐ隣の高校のB君という男の子だそうです。B君は私も知っている有名人でした。何年か前にB君の父親が強盗殺人の罪で刑務所に入り、騒がれたのです。犯罪者家族に向けられる世間の目は冷たいものでB君は学校でも避けられているようでした。

「B君ってあのB君?でも、その…大丈夫なの…?彼の父親ってさ…。」

「大丈夫って何よ!B君と父親がしたことは関係ないでしょ!?B君はとっても優しいんだからね。それに私の恩人だし。」

「恩人?」

ある日A子が歩いていた時、後ろからいきなりバックをひったくられたそうです。そしてそのひったくり犯を捕まえてくれたのがたまたま通りかかったB君だったらしいです。そっから仲良くなり付き合うことになったんだとか。私の知らない間にいつの間に…。

「ドラマチックでしょ♪」

「それで、B君とは隠れて付き合うの?」

「うん…。本当は堂々としてたいけど、お父さんにバレたら何言われるかわかんないし…。」

「そっか。んじゃ私も周りには黙ってるから、B君と上手くいくよう応援してるよ。」

「うん、ありがとう!」

そうしてA子とB君の恋愛が始まりました。二人はまるで運命の人どうしのようにとても愛し合っていて、よく惚気話を聞かされました。私もA子と一緒にBに会ったりしましたが、とても温厚で優しい男の子で暖かい空気を持っているように見受けられました。

しかし現実はそう甘くはありませんでした。A子とB君が付き合ってることが周囲にバレたのです。誰かが目撃して、誰かが噂をし、それが広まっていく、ついには父親の耳にも入りました。

ある日A子は私に相談してきました。父親にB君と付き合っているのがバレて今すぐ別れろと怒鳴り付けられ、さらには犯罪者の家族は犯罪者だ、Bなんてやつはクズだと言われたそうです。A子は怒り「絶対に別れない!」といったら頬を殴りつけられたと…。A子の頬には痣があります。

「もう、お父さんなんて大嫌い。私、B君とは絶対に別れないから。見方なのは○○だけ…。応援しててね…。」

「うん…。」

その日からA子には父親に早く別れろと怒鳴られ、反抗し、殴られるそんな日々が続きました。日に日に元気がなくなり、衰弱していくA子を見るのはとても辛かったです。急激に環境が変わったのはA子だけではありませんでした。普段、あまり目立たない(ようにしていた)B君が誰かと付き合う、それもA子みたいな可愛い子と。このことが周りから反感をかったようです。Bは学校で酷いイジメをうけるようになりました。二人とも心も体もボロボロ。

けれどA子は私に言いました。

「B君と一緒にいる時だけは本当に幸せなの。何もかもが輝いてみえるのよ…。」

そしてこれが私の聞いたA子の最後の言葉となったのです。

続く

怖い話投稿:ホラーテラー @さん  

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