短編2
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母親

「おれおれ」

「あぁ、かずき?」

思わず笑みがこぼれてしまう。

「そうかずき。間違って人はねちゃってさ。それで慰謝料とか相手の治療費とかで百万払わないと行けないんだよ。だから、今からいう口座に金振り込んでくれないかな?」

「本当なの!?分かったわ。すぐに振り込むから。」

そして口座番号を教え電話を切った。

世の中にはバカが溢れているなと思った。

とりあえず成功した事をAさんに報告へ行く。

オレには両親というものがいない。正確にいえば捨てられたのだ。赤ん坊だった頃、孤児院の前に名前と共に置かれてらしい。

孤児院では気に食わない奴に暴力を振い友達は出来ず、中学では喧嘩に明け暮れ、高校では地元で有名な暴走族に所属していた。

高校を卒業した後は何もせずただ毎日を無意味に過ごしていた。

そんな時にオレを拾ってくれたのがAさんだった。

そして今はAさんのもとで組の小遣い稼ぎであろうオレオレ詐欺をしている。

ある日仕事場へ行くと仲間が間違い電話がどうとか話していた。

いつものようにAさんに電話番号のリストをもらい仕事を始める。

「おれおれ」

「よし……かず?」

少し驚いた。それがオレの名前だ「おれおれ」

「よし……かず?」

少し驚いた。それはオレの名前だったからだ。

「そうよしかず。間違ってさーーー」

「貴方にいわなくちゃいけない事があるの。」

なんだこいつ……。

「貴方を孤児院に置いていってしまって本当にごめんなさい。お父さんが死んじゃってそうするしかなかったの。だって私のところにいたらひもじい思いをさせるだけだったから……」

鼻を啜る音が聞こえた。恐らく泣いているのだろう。

「今更母親づらするつもりはありません。でもこれだけは分かって。私は貴方の事を片時も忘れた事はないし貴方を心から愛しています。図々しいと思うけど貴方にその気があるならまた電話くれませんか?よしかず」

何故か涙が出ていた。

「あぁ電話する。そして会いに行くよ。母さん」

電話を切った。

そしてAさんのもとへむかっい、「組をやめさせて下さい。」といった。

Aさんは低い声で、

「テメーやめたらどうなるかわってんだろうな」

といったが不思議と恐怖心はなかった。

まともな仕事して母さんに会いに行こう。

しかしその夢もかなうことはなかった。

後日、口止めのためだろうAさんに刺されたからだ。

母さん……

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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