短編2
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派遣会社4

自宅で大好きな48人組アイドルグループの曲を聞き終えたところだった。

電話が鳴った。

「お仕事です。」

担当の女性は依頼人の名前、仕事内容、場所と時間を丁寧に説明し電話を切った。

さっきまで聞いていた曲を口ずさみながら仕事先へむかった。

今回は拾って来るだけの楽な仕事だ。

仕事先は雨が降っていた。

なんでこっちの天気の事も教えてくれないんだ、と天気予報に文句をいいたくなる。

周りを見渡すと男が倒れていた。

近付いて見てみると腹から血を流していた。

どうやら誰かに刺されたらしい。

まだ息はあるようだ。

とりあえず息絶えるまで待った。

今のうちに伝えるべきだろうか……。

担当の女性の話では、この男の母親は男が属している組のトップ、つまり組長の愛人だ。そして実の息子が組の中にいて、しかもオレオレ詐欺をしている事が分かりある計画を立てた。

母親は組の若い奴に電話番号のリストの中に自分の電話番号を混ぜておくよう頼んだ。

かかって来た電話で男に自分が孤児院に置いていったのを悔いている事、今でも男を愛している事を涙ながらに話した。(すべて演技だか)案の定、男は組を止めると言い出した。

これを口実に後日、組の若い奴に男を殺させに行くよう頼んだ。

そして今その男が目の前に倒れている。

もう一つ。

この男には多額の生命保険がかかっている。

哀れな男だな……。

そう思いながら魂を拾い死神派遣会社へと戻った。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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