短編1
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コンビニ店員

いつも行くコンビニ。いつもの女性店員。お互いに顔見知りではあるものの、会話など交わしたことは、一度も無かった。

その日も会計を済ませ、コンビニ店員お決まりの挨拶に、軽く愛想笑いと会釈をして商品が入っている袋を手に店を出る。

ん?何だこれは…。その存在に気が付いたのは、自宅に帰って、リビングで買った物を袋から出しているときだった。

封筒か…。何が入っているのか気にもなったが、夕飯時分ということもあるし、取り敢えずテーブルに置いておくことにして、妻の夕飯の知らせに応え、リビングを跡にした。

夕食を食べ終え、仕事の残務を思い出し、それを自室で済まし、風呂に入る。

当たり前の日常の中、リビングに戻る頃には、封筒の存在など忘れ去っていた。

背を向け座る妻の様子が明らかにおかしい。その足元には、開封され中身が取り出された茶封筒が、無造作に置かれている…。

心配になり声を掛けると、ゆっくりとこちらを向いた妻の顔は、この世のものとは思えないほどの形相だ。

『ひっ』。恐怖のあまり、情けない悲鳴をあげる私を睨み付ける鋭い眼光。動けない、これがあの金縛りというやつか…。

怒りに震える両手に、あらん限りの力で握られていたものは、知らない女性の名が記入された婚姻届けと、私と妻の名が記入された離婚届けだった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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