短編1
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影の裏切り

私は俯いて歩く癖があった。

その癖を直した今でも、光を背に受けて歩くと、自らの影と目が合うことがある。

表現は可笑しいが、それが適切だろう…。

後輩に誘われ参加した飲み会…。要するに合コンであるが、初めてそのような場に足を運んだためか、雰囲気に馴染めないでいた。

その様子を察してか、そうではないのかは、分からないが、向かいに腰を下ろしている女性が話し掛けてくれた。

彼女との出会いは、ごくありふれたもの、その後の付き合いも、ごく普通の恋人同士であったであろう…。

永遠の別れは、唐突に訪れる。

なぜかは、避けておこう…。

とにかく彼女は死んだ。

弱い私は、その後、ただ沈んだ日々を送るだけだ。

悲しみからではない。

あのときはそうだったが、今は、決してそうではない。

恐怖からである。

彼女ではない。

いや、むしろ彼女は被害者であろう。

『影が…ね…』。

ふ、と落とした視線に、哀愁めいた様子を感じた私の呼び掛けに対する彼女の応えだった。

今、それは、私の影の中にいる。

充血したあの目が、いつも私を見据えているのだ。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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