短編2
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ルームミラーの女

時計を見ると20時をまわったぐらいだった

今日は21時から友人とカラオケにいく約束があった

軽く準備を済ませると、待ち合わせ場所に車を走らせた

俺の住んでいる街は田舎なわけでもなく都市ってわけでもない

10分ほど車を走らせていると、歩道を歩く一人の女がいた

「とりあえず顔をチェックだな」

すれ違い様に顔を見るが暗いせいもあり見えなかった

「くっそ見えんかった!」

とっさにルームミラーを見る

なぜか女はこちらを振り返っていたが、やはり顔は見えない

「くそ!次の女の顔は絶対見ちゃる」

名残惜しくもう一度ルームミラーを見る

相変わらず女はそこにいるが顔は見えない

そこで気が付いた

相変わらずそこにいる?

俺は車を走らせているのに?

信号待ちをしているわけではないのだ…

もう一度ルームミラーを見る

そこで俺は息を飲んだ

明らかにルームミラーに映る女は最初より車に近い位置にいる

「なんでだ!?」

さらにもう一度ルームミラーを見ると女が凄い勢いでこちらに走って来ている

「絶対ヤバい!」

そう思いアクセルを踏んだ瞬間

助手席と運転席の間を後ろからなにかが通った

そして…

グシャッ

女がフロントガラスの内側にぶち当たった

フロントガラスには血が飛び散り前は全く見えない状態

しかし、前が見えないことを気にする余裕はなかった

俺の視線は女に釘付けだ

声を出すことさえ出来ない

そしてゆっくりと女がこちらを振り返る

顔面はグシャグシャでどこが目で、どこが鼻かもわからない

わずかにそれとわかる口が微かに笑ったように見えた

「うわああぁぁぁぁ!」

気が付くとそこは病室だった

体を起こすと全身に痛みが走る

意識を取り戻し、しばらくすると警官がやってきた

話を聞かせてもらいたいとのことだった

『なぜ君は走ってる車から飛び出したのかな』

頭を打ったらしく、思い出せないことを伝える

『そうか…じゃあもう1つだけ。君の車のフロントガラスに大量の血液が付着していたんだが、心辺りはあるかい?』

それを聞いた瞬間、全ての記憶が蘇った

思い出したことをありのまま話すが、当然信じてくれる人はいなかった

あれから3年

いまだに夜は車を走らせることが出来ない

歩道を歩く女を見ることも

あの女は一体なんだったのか?

結局はわからないままだ…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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