中編2
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実体のない 4完

すると監視者の1人が仮面を外して何か呪文のような言葉を言い始める。

その顔に見覚えがあった。

俺を島から連れ去った女だ。

女は抱えていた眠っている子供の口を開けると、手を突っ込んで引き抜いた。

すると口からは、この世の者でない姿をした人や、獣を頭から引っ張り出して壺の中へ入れると蓋をした上から札を貼っていた。

子供に憑かせたモノを次々と壺へ閉じ込めていく。

そして最後に俺の番だ。

女が俺の口の中に手を入れると

「ぎゃやああ!!」と叫びだした。

「痛い痛い痛い痛い痛い!!!」と激痛を訴える。

残りの監視者達が女のもとに駆け寄って口に入った手を引っ張りだそうとすると、次々と激痛で悲鳴を荒げる監視者達。その声で他の子供達も目が覚める。

そしてようやく俺の口からでてきたのは、監視者達の腕を掴んだまま離さない般若のような恨みと怒りの表情に満ちた洞穴の彼等だ。

彼等が助けてくれていると感じた俺は、監視者達が絶叫で苦しみもがいている隙に札の貼られた全ての壺の蓋を開けた。すると今まで閉じ込められていたモノ達が溢れ出した。

俺は残り4人の子供達を連れて廊下に出ると、部屋の扉が勢いよく閉まった。

阿鼻叫喚する監視者達の声が響くなか、俺は4人と共に外へでて真夜中の暗い見知らぬ道を歩いて行った。

俺達は無言でしばらく歩き続けているところを保護された。警察の調べが入ったが、あの場所には誰もいなかったし壺も翌日には無くなっていたという。

そして何者かの強い圧力で警察は捜査を打ち切られた。

マスコミ関係も根回しされて、一切報道されず闇に葬られた。

俺達5人はそれぞれの親元へ帰ったが、洗脳を解いて本来の自分を取り戻すための長い治療が始まった。

俺の場合は洞穴の彼等が憑いた時に念を共有したことで感情が解かれ、洗脳の呪縛を一部和らげてくれたようだ。

それでも時間はかかったが催眠療法などのセラピーで、治りつつある。

他の4人もいつになるかわからないが完治してほしい。

しかし監視者達は何者で目的は何だったのか、わからなくなった。

ある秘密結社の仕業なのではと思うが今となっては知りたくないし関わりたくない。

実体のない組織とは恐ろしい。

しかしこのままでは犠牲になって亡くなった当時の子供達が浮かばれない。

曾祖父が日記に残したもの。

日記はここで終わっている。

我が家では曾祖父の話はタブーとされている。

その後、再び曾祖父は謎の失踪をしたからだ。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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