中編4
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桃子ちゃんの体験談

2年前(2008年)にかみさんの友人・桃子ちゃん(仮名)がフランス旅行に行き、お土産を持って来てくれた時の話。

5泊のツアーで会社の友人4人とフランスに行った。

最初は旅行中に行った所々の話やワインがうまいだの、料理は日本の方が良いだの、そんな話をかみさんにしていた。

俺はテレビがあるリビングで子供と一緒に『ウイニングイレブン』をやっていて、話は聞こえる程度に聞いていた。

最終日はパリを観光。その後、市内のホテルにチェックイン。その後は自由時間なので街に出て買い物に繰り出した。

買い物を終え、ディナーをホテル内のレストランにして、明日の帰る用意をする為に早めに済ませた。

しかし、そこは女性。

思ったよりも早く終わり、寝るには時間が早いのでホテル周辺を探索がてら、散歩に出かけようかと考えた。

その時の部屋はツインなので同部屋の友人に声をかけると、

『荷物、整理できていないし疲れたからシャワー浴びて寝る。』との事。

隣の部屋に行き、声をかけるとドアが開いた。

すると…。

お土産で買った筈のワインを飲み、チーズやお菓子を酒の肴にして酔っぱらっていた。

(こりゃ…ダメだ…。)

何でもないと言いドアを閉め、一人で散歩に出かけた。

桃子ちゃんは写真を撮るのが趣味で街並みや建物をカメラに収めていた。

やっぱり…パリ。(ダジャレのつもりじゃ無いです)

見る物、見る物が珍しくそして素晴らしい!全てが芸術作品に思える。

しかし……、

気が付くとホテルからは相当、離れた。

(ヤバイ…夢中になっちゃった…っていうか…此処…………、

………何処だろ…?)

右も左も判らなかった。

でも、そこには広場があり公園らしき場所。

夜だけど綺麗だとわかる。

(えーい!せっかくだ。

此処も写真撮ろう。)

そう思い、写真を撮り始めた。

撮っているうちに何かを燃やす匂いが漂ってきた。

(ん?…焚き火?……違うな…。なんだろう?)

その時、嫌な感覚が彼女を襲った。

(ちょっと、此処から離れた方が良いかな…。)

そんな気持ちがして、広場の外に出た。

でも、なんだろう…。

嫌な感覚はあったものの、怖いと言う気持ちは全く無く、それどころか(もう一度、来なくちゃ…。)と思ったそうだ。 

(ここら辺の話から俺もちゃんと加わる!)

その後、片言のフランス語で道を聞き、ホテルになんとかたどり着いた。

部屋に着くと同部屋の友人はいびきをかいて爆睡中。

起こさないようにそぉっとシャワーを浴び、ベッドに入った。

寝ながら天井を見上げ、

(朝、起きてもう一度、あの場所に行ってみよう。)

そう思い、眠りについた。

朝、早く目が覚めて友人を見ると相変わらず、爆睡中。

再び、そぉっと着替えて外へ出て行った。

隣もノックしたが応答無し…。

ある程度、場所は覚えていたので今度はすんなり行けた。

昨日と同じ場所でカメラをかざし、シャッターを押した。

その瞬間だった…。

昨日と同じ匂いがしてきた。そのうえ、微かだがはっきりと聞こえる若い女性の声…。

(えっ!?…誰…?)

そう思って周りを見渡したくらい、微かだが側で聞こえた。しかし誰もいない。

気を取り直し、再びシャッターを押した。

どれくらい時間が経ったか。周りに花束を持つ人々が来はじめた。

(なんだろう…?)

すると、隣の部屋で昨日は酔っぱらっていた友人2人が来た。

『ノックしても出て来なかったから寝てると思った…。よく此処、わかったねぇ!桃子、知ってたの?』

唐突に言われて意味が判らず、

『何が…?どうして…皆、花束持ってんの…?』

その場所は……、

1969年3月30日・日曜日

フランシーヌ・ルコントと言う女性(19歳)がベトナム戦争反対を叫び、焼身自殺をした。

その日はちょうど、3月30日の日曜日だった…。

『桃子、呼ばれちゃったんじゃない…?』

『うん…悪い意味で呼ばれたんじゃないと思うけど…そうなんだろうね…。』

その友人はフランスに留学していたそうで言わば通訳代わりだし、良くフランスを知ってもいた。

『フランスに来ると必ず、此処には来る事にしてるんだ…。留学先で話も聞いていたしね…。』

そして焼身自殺をした場所には花束が置かれた。

日本に帰って写真を見るとそこには……、

綺麗な広場が写っているだけだった。

『でもね…あの場所に行った時、本当に焼けた匂いはしたんだよ…。

翌朝はそのうえ、声が聞こえたし、初めてあれが霊体験だったかな?と思えるね…その声だって側にいる感じに聞こえたの…!』

一生懸命に話してくれました。

桃子ちゃんの不思議な体験でした。

【完】

怖い話投稿:ホラーテラー 元・悪ガキさん  

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