「吉田会長にお聞きします。会長がおっしゃる○○事業協会の天下り役員の報酬が4人で年間約1億。国民目線で…」
私はいま事業仕分けの会場にいる。前の方にはシェケラベイベーな歌手が座っている。追求しているのは元グラビアの連邦議員だ。
ここまで2事業の廃止、3事業の見直しと言う結果だ。
「それでは次の事業ですが……交通遺児育成基金に対して…」
担任者は議員の鋭い質問、周りの雰囲気にのまれしどろもどろ。誰もが「廃止か」と思われた瞬間、会場内に子供の声が響きわたった。
「お父さんやお母さんがいなくなって困っている子供達を見捨てないで!」
みんな驚いて辺りを見渡すが、子供なんて一人もいない。
あっ…連邦議員の前に!?
いつの間にか泣きじゃくる女の子が立っていた。
「お願いします!見捨てないで!お願いします!」女の子は何度も何度も頭を下げる。会場にいる全員が息を呑んだ。
すると厳しい顔をしていた連邦議員が、女の子を真っ直ぐ見据えニッコリと笑い言った。
「次の事業対象に移りたいと思います」
その刹那、女の子の顔はパァーっと明るくなり「ありがとうございます!」そう言って消えてしまった。
会場内は歓声と拍手、それとほんの少しのすすり泣きが止まなかった。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話