短編2
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その夜は彼女の家に遊びに行ってた。それで、まぁ泊まりたかったんだけど次の日は用事があったから帰ることにしたんだ。

深夜の2時過ぎに彼女の家を出た。車で30分程度の距離だから、3時までには着くはずだった。

しかし急に睡魔に襲われた。瞼が重くて仕方ない。

もうすぐ着くから頑張ろうとも思ったんだが、ここは田舎だ。それもクソ田舎だ。

狸や狐が飛び出してくるなんてのも日常茶飯事だ。

だからボーっとした頭で運転していて、車にでもぶつかられたんじゃ洒落ならんと思い仮眠をとることにした。

道路が少し広くなっている場所に車を止め、目を閉じるとすぐに眠りに落ちた。

10分ぐらいして目が覚めた。頭もかなりスッキリし、シートを起こした時異変に気付いた。

車の外に誰かいる!

車の周りをぐるぐる歩き回ってるように思える!

言ったようにここは田舎だ。近くに民家はあっても住んでいるのは、この時間に活動を停止した年寄りばかりだ。

この時点で俺の頭は、外にいるモノは人間ではないと判断した。

しばらく何も出来ず、じっとしているとフロントガラスに手が触れられた。よく見えなかったが、白くて手の形をしていたからまぁ手だと思う。

その手がガラスを叩きはじめた!

その時、俺の頭でなんの根拠もない意味不明な理論が炸裂した。「俺は車が大好きだ!自分の愛車に自信を持っている。この車は俺にしてみれば聖域だ。だから幽霊だって入れないんだ。だいたいこのドアの開け方知ってんのか?改造費〇〇万のガルウイングの開け方をよ!!」

‥理論を展開してみたものの、やっぱり怖い。

「そうだ、音楽をかけてみよう。爆音で!」

気も紛れると思い、音楽を大音量でかけ続けた。

すると今度は運転席側のガラスが勢い良く叩かれた。外を見ると怖そうなおっさんがなにか叫んでいた。俺は助かったと思い車を降りると同時に怒鳴りつけられた。

「うるせぇんだよ!何時だと思ってんだ、みんなもう寝てんだぞ。他人の迷惑も考えろ、クソガキが!」

‥ごもっともです。

怒り終えるとおっさんは近くの家に帰っていった。

辺りを見回すと、さっきまでいたなにかは消えていた。姿も気配もなく、ただ車のイカリングが虚しく輝いていた。

後日聞いた話、その場所は昔の城跡だったらしい。そこで、たくさんの処刑が行われ、その怨念がまださまよっているとか。

マニアックな話になってすいませんでした。

怖い話投稿:ホラーテラー ヘビースモーカーさん  

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