短編2
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御左口 10

そこで私達は嘆願書を本部へ提出し、当時の神職の最高位である浄階を務められていた御方の御尽力で旧トンネル使用の承諾が奇跡的に得られた。

そしてミシャグチに儀式を行うと称して封じ込めるための社や結界の準備を進めたのだ。

もう1つ大切なことがある。

ミシャグチの神通力を弱まらせなければならなかった。

唯一の方法は儀式に必要な魂の一部を利用して術を施し、弱まらせることだ。

あとは年月をかけて更に神通力を弱まらせていく。

これならばミシャグチも油断しているし上手くいく。

計画通り、儀式の真似事をして術にも成功した。

だがミシャグチは私達の罠に気づいた。神通力は弱まったとはいえ神の力に私達はかなわない。

ここまできて命を奪われては全てが水の泡になる。

私達はひとまず、トンネルから逃げだすことにした。

しかしミシャグチに追いつかれ、餌食になるとこを烏天狗様が助けてくださった。

私達の身を案じてくださっていたのだろう。

お祓いで張った結界の効果が数日であるように人間の力には限りがある。

それで烏天狗様は、トンネルから二度とミシャグチが出られない強力な神通力を施された。

その代償に烏天狗様は肉体が消滅されてしまわれた。

私達はミシャグチの魂の一部を細工された箱に収めて、祭壇に奉った。

そして密かに術をかけ続け神通力を弱まらせてきた。

お陰でミシャグチが外で暴れられなくなった。

君がトンネルの入口で見た羽は神通力のかかった烏天狗様の羽なんだよ。

そしてトンネルで見たのは神格化したミシャグチということだ。

A君はあの箱を開けてしまった。

そして魂の一部に触れた。

封印の効果が弱まり、僅かながら一瞬神通力を取り戻したミシャグチは今までの怨みからA君に祟ったのだ。

本来なら死んでいたかもしれない。

しかし、あの生贄となった児童がA君を助けたのだろう。

あの部屋の鏡の中には児童の魂がおる。だから死なずにすんだ。それでも人間とは違い、力は強い。簡単に解けるものではないからA君はな、本部の霊場に行ったのだ。いつになるかわからないが無事戻ってくることを祈ろう」

C「僕達がミシャグチに襲われてるこを助けてもらったのは偶然ですか?」

「人形が何体かあっただろう。

あれはミシャグチを監視しておく為に置いた依代の一種でな、万が一何か起こったらここに鈴の音色を鳴らせて知らせるようになっている」

C「烏天狗様はどうなったの?」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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