ものごころついた頃には、自分が普通じゃないと気付いていた。
小さな頃から周りの皆が見えない者が見え、不思議な体験も沢山した。
生首に見つめられたり、生首に励まされたり、生首に慰められたりした。
授業中は、頬っぺたに矢がささった落武者がうろうろしていた。
鎧がガチャガチャうるさくて、先生の話が聞こえない。
どうして私だけがこんな目にあうのか?
本気で悩んだりした。
……というより、今悩んでいる。
祖母からこの話を聞いたのは、確か小学校5年生の時だったと思う。
「ばぁちゃん!家の前にまた変なのいる」
「あぁアレか。大丈夫、悪いことはしないから」
「でも、怖い」
「大丈夫、大丈夫。この村にはとっても強い神様がついてるから、悪いことはできないんだよ」
昔々、この村には蛇龍神様なる神様がいた。この神様は村を守り、雨を降らせ、禍を予言し、村人達に丁重に奉られていた。
そしてこの神様からのお告げを聞き、村人に話すのが巫女の役目だ。巫女は神様の声を聞く為、神様の為に生きなければならなかった。
その巫女の子孫が私達なのだと、ばぁちゃんは言っていた。
「恵馬(私)は、時代が時代なら巫女さんだったかもしれないね。」
私はまだ蛇龍神様を見たり感じたりしたことは無いが、私は昔々の巫女さん達とかなり共通点があるらしい。
なんでも、家系の女なら誰でも巫女になれるわけではない……というより巫女になる為の女が産まれてくるといった方が正しい。それほどはっきりと違って産まれてくる。
何が違うかというと見た目だ。
全体的に色が薄いのだ。
肌も白い、茶色の髪の毛に若白髪。そして目。黒目の部分が灰色に近い。
私の前は祖母のお姉さんがそうだったらしい。
自分でいうのもアレだが、かなり怖い。
今は目はカラーコンタクトレンズで黒くし、髪の毛は染めているが。
さて、私の悩み事の話に戻ろうと思う。
今の私の悩み…ズバリ、彼氏が出来ない。
出来ても長続きしない。
1番最初の彼氏は高校生の時だった。
その彼は私とのデートの帰り交通事故にあった。
歩道に蛇がでてきて、それを見ていたら車に突っ込まれたそうだ。幸い彼も運転手も軽い怪我で済んだが、その話を聞いて何か嫌な予感がして彼とは別れた。
2番目の彼はちょっと霊感のある彼だった。
私と付き合いだしてすぐ、変な夢を見るようになったらしい。大きな蛇に丸飲みされる夢。彼は、
「絶対お前に何かついてる」
そう言って私をお祓いに連れて行った。
しかし、今度は蛇に絞め殺される夢を見たらしく、お前とは付き合えないと言われた。
その後、何人かと付き合ったが1ヶ月以上続いたことが無い。
そういえば、祖母のお姉さんも生涯独身だったと聞いた。
28歳、処女。
私の人生、色んな意味でホラーだが、蛇龍神様とは関係無いと思いたい。
怖い話投稿:ホラーテラー 恵馬さん
作者怖話