とある学校の階段の踊り場に、全身が映る程大きな鏡があった。
放課後に一人でその鏡の前に立つと、幽霊が映るという噂があった。
私はその日、部活で遅くなった。
携帯をいじりながら歩いていたせいか、気付けば噂の鏡の前に居た。
?
何か違和感がある。
夕暮れのオレンジ色の日差しの中、私と重なるように人がいる。
光の加減で自分が二重に見えるんだろうか。なんて思いながら、通り過ぎようとした。
私が動いたら、ソレは居た。
さっきは自分が二重に見えるだけだと思ったんだけど、私が動いてもソレは微動だにしなかった。
自分と同じ制服を着た、半透明の少女がいた。
ただ、そこに立っていた。
ただ、そこに立って、静かに泣いていた。
なぜか、怖い感じはしなかった。
彼女から目が離せなかった。
そんな不思議な時が一刻、、彼女は鏡に映る自分をゆっくりと指さした。
そして、夕焼けにとけるように消えて行った。
その後も鏡に映る幽霊の噂は続いていたが、私が彼女を見ることは二度となかった。
こんな不思議体験も忘れかけたある日、学校統合が行われ廃校になった母校が解体された。
踊り場の鏡の後ろの壁から、制服を着た女性の遺体が発見された。
何年も昔に、行方不明になっていた女生徒の遺体だったそうだ。
彼女は自分がいる場所を必死に訴えていたのでしょうか。
女生徒が失踪した同じ頃、ひとりの男性教師も行方不明になっていた。当初、駆け落ちしたのではないかと噂されたが、程なくしてそんな噂も忘れ去られた。
後に、その男性教師は指名手配されるが、いまだ捕まっていない。
生きているのか、それとも・・・
*フィクションです*
怖い話投稿:ホラーテラー 零さん
作者怖話