鏡に映る・・・アナザーストーリー

短編2
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鏡に映る・・・アナザーストーリー

少女は恋をしていた。

狂おしい程。

その男は少女の通う高校の教師。男にとっては遊びでしかなかった。

高校生の、その若い体目当ての。

しかし、男は行為をする度に少女の耳元でささやくのだ。「愛している」

彼女はそれに答える。「先生、私も愛してるわ。ずっと一緒にいてね。」

先にも言ったように、男にとっては遊び。飽きるのもはやい。やがて「忙しい」と言って少女と二人きりでは会わなくなる。

異変が起きたのはそんな頃。

学校帰りに後をつけられる。夜中に電話が鳴る。何度も、何度も・・・男は携帯の電源を切る。ふと窓の外を見ると、少女が見上げている。

男の姿を確認してニヤリと笑う。

男は狂う。

そして、電話をとる。

「明日、放課後、二人で会おう。」

夕暮れの、人気のない学校。

男は少女と体を重ねる。

見つかれば大問題。

しかし、ここには誰も来ない。ある科目の準備室。先生だけが使う部屋。

男は今日も囁く「愛している」すでに何の感情もない言葉。

男の手はゆっくりと、しかし確実に少女の首をしめる。

少女はそれでも、今日も答える「先生・・・ずっと・・・一緒・・・」

男は囁く。

「愛している・・・あぁ・・・死んでくれ・・・」男の絶頂と共に、少女は息絶える。

男は、しばらく呆然としていた。そしてふと我に返る。

「あぁ、死んでいる・・・」

幾時かの時間が過ぎ、男は動きだす。

階段の踊り場の鏡を外し、壁を掘る。

ザクザク・・・

ザクザク・・・ザクザク・・・

少女を埋める。

塗り固める。

自分の罪と共に・・・

少女は行方不明になった。

鏡の後ろ、新しく塗り固められた壁には誰も気付かない。

・・・

数日後、男はその踊り場にさしかかる。

「先生・・・」

そこには・・・

少女が立っていた。

男の前に立っている。

無論、男の前には誰も居ない。しかし、鏡には確かに映っている。

男は頭の中でつぶやく「そうか、俺の前で鏡を見ているんじゃないんだ。鏡の後ろから俺を見ているんだ。」

少女が近づいてくる。

耳元で囁きが聞こえる。

「ずっと一緒って言ったじゃない。」

少女が見つかった壁の中、

もう一つの遺体が見つかった。

*もちろん作り話です*

たぶん壁は固まる前に崩れます。人の重みで。

怖い話投稿:ホラーテラー 零さん  

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