中編4
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真夏のアジサイ

もうはるか昔、学生時代のことです。

六〇山にキャンプに行った時、オリエンテーリングをしました。

地図、コンパス、メモ紙を持ち途中の何ヶ所かある通過点を通り、そこに書いてある「クイズ」に答えながら先に進んでいくというものでした。

キャンプ場を出発して、周辺を一周ぐるっとまわり、戻ってくるコースでした。

5人1組のグループで出発。

夏の六〇山は涼しいのですが、昼間の山頂は、炎天下の中を歩いていると下界の市街地より暑く感じ、太陽に少し近い分だけ暑い!と言いながら楽しく進んで行きました。

コース上は、キャンプ場のお兄さんたち数人が自転車で巡回しており、歩いている私たちに声をかけながら見守っているので安全でした。

通過点にあるクイズは、地元民なら誰でも知っている簡単なものと聞きましたが、私たちのグループは地方出身者ばかり。

生粋の神〇っ子の栄子は全然頼りにならず。

「六〇山の標高は?」

栄子:富士山より低いね

「六〇山の名前の由来は?」

栄子:なんか聞いたことある、えーカブトの数が6個あるからなんかって・・・

だめだこれは・・・・

「神〇市の花は?六〇山にもたくさん咲いています」

アジサイ!アジサイ!

これなら、みんなわかりました。

コース上にはたくさんのアジサイが真夏の炎天下にも負けず、見事に咲いていました。梅雨の雨の中に咲くアジサイとは全然違った雰囲気でした。

きれいなアジサイを見ながら、私はフト違和感をおぼえました。

「ねえ、さっきもここ通らなかった?」

「うっそー、そんなことないわ、地図の通りだし、間違ってないよ」みんながいっせいに否定しました。

でも、先発隊でわたしたちの前を歩いていてちらちら見えていたグループの姿がすっかり見えなくなったし、後ろから来ていて、最初のクイズの時に追いつかれてしまってしばらく一緒にいた後発グループの姿も見えなくなりました。

そして、ぐるぐる巡回していたキャンプ場のお兄さんの姿もしばらく見ていないのです。

わたしがそう言うと、みんな顔を見合わせていましたが、通過点が見えてきてクイズも置いてあり、ひと安心。

最後のクイズで、ゴールのキャンプ場まであと少しです。

最後のクイズは「私たちの目的地は何処でしょう?

〇〇キャンプ場?妖怪広場?」

何これ?妖怪広場って何処のこと?おっかしぃー

みんな、キャアキャア大笑い!おもしろいから妖怪広場って書いておこうと、解答用紙に記入しました。

そして無事にキャンプ場に戻ってきました。

戻ってきた時も、広いキャンプ場の中でスタートの場所と、ゴールの場所が違っていたので景色が違い、その時も奇妙な違和感をおぼえました。

その時は全員がそう感じ、え?ここ?って言いました。

夜になり、キャンプファイヤーを囲み、昼間のクイズの発表がありました。

全問正解は豪華景品(スイカ割りの特権、食べ放題)です。これにも相当みんな笑いました。

私たちのグループの発表です。

最後の問題「妖怪広場」の答えを言うと、みんなから「なにそれ?」と大受け!

答えを言っている本人だって大受けです。

他のグループが「なんの問題?」「そんな問題あった?」

キャンプ場のお兄さんまでもが、笑いながら〇☓グループはどこでそのクイズみたんですか?って言うのです。

最終地点のところにあった問題だと言っても信じてもらえません。問題は、ここのキャンプ場の正式名称だったとのこと。

なるほどあまり答えがぶれないわけだ。

私たちのグループはみんなそれは不思議でしたが、きっと別のキャンプの団体がやっていたものを私たちが見間違えたのだろうと、軽く流されてしまいました。

別に道に迷ったわけでもないし、コンパスだって狂ってなかったし、カンカン照りの昼間だったし、妖怪が出たわけではないけどね。

でもね、私聞いたんだ。

あの最終地点のところからちょっと下に行くと「出る」と有名なところがあるって。

栄子はもともと知っていたけど、近くまで行っていながら、「あの時はそんなの意識しなかった。すっかり忘れていた。夜ならともかくねー」

いやーあんたは夜でも忘れているね、きっと。

雨の日にアジサイを見ても何ともないが、晴れた日に

アジサイを見るとあの時の真夏のアジサイの鮮やかさを思い出し少しぞっとすることがあります。

長文にお付き合いくださり

ありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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