3の続きです。
オーナーが山姫と遭遇した時の話はこうだった。夜中、急に目が冴えて神経が研ぎ澄まれている感覚を覚え、なんとなく小屋の外を出ると、後ろをザザッと白い着物を着た女が走り抜け、オーナーはそれが“山姫”だと直感し、陽が昇るのを待ち、逃げるように下山したという。
・遭遇したら目を合わせない
・絶対に振り返ってはいけない(正確には山姫を目で追ってはいけないそうです。 山姫と目があった場合、連れ去られるらしい )
・気紛れで命を奪う存在・・
・M岳の山ノ神は人間を樹木へ変える、もしくは、命を吸い取るとも云われている。
オーナーによると、
目撃の直前に、目が冴える、勘が鋭くなるそうで・・
そのような奇妙な状態を“招かれている”状態なんだそうだ。
(注意が必要と、オーナーは話していました)
オーナー「S小屋で目が覚めても、外にはでないように」
その小屋で急に目が冴えてきたときは、危ないそうだ。
山姫の出現場所であり、仙人が住む”神々の山”・・
人の命を奪うと云われているが、時々、遭難者の命を救うといった事もするらしい。
僕らは、ぽかんとオーナーの話に聞き入ってしまいコーヒーが冷めてしまった。
オーナー「まぁこんなとこだね。用心した方がいい。ここはまだ大丈夫だけど、奥に進めば進む程‥山姫に遭う確率が高くなる。」
信用していなかった訳ではないが、正直僕らはバカにしていた節があった。昔話のような言い伝えだろうと。
だから僕らはこんな事を言ってしまったのかもしれない。
僕「すごいですね。民話みたいなお話で。でもおれ達、どうしても予定通り進んで行きたいんで、無理しない程度に行ってみます。」
A「そうだなぁ。山小屋も途中何軒もあるみたいだし、様子見ながらなら大丈夫だろ。」
しかしCだけは様子が違った。
C「お前らなぁ。地元の人がこう言ってんだぞ?素人の判断よりおじさんの忠告煽った方がいいって。天気崩れるだけで本当に命に関わることあるんだからな。」
少しムキになっていたCだったが、僕らになだめられ登山する事に同意した。
オーナー「強制はしないが‥少しでも様子が違ったら引き返すんだよ。」
オーナーの言葉を受け、僕らは小屋を後にし中腹のM岳を目指した。
M岳には想像も絶する程の景色が広がり、何より国の重要文化財に指定されている大木が存在するので、そこをなんとか目指さない事には始まらなかった。
5へ‥。
怖い話投稿:ホラーテラー ケンジさん
作者怖話