6の続きです。
気づいたら、朝だった。
陽の光が窓が差している。
昨夜とはうってかわって快晴だった。窓の外は朝露が滴っている。
なんと僕らは気を失ったのかどうかわからないが、とにかく寝ていたのは確かだった。
夢だったのか‥?
時刻は朝6時。
僕は慌てて皆を起こした。
すると皆、
「昨日のは‥なんだったんだ」
‥どうやら夢ではなかったらしい。僕らは慌てて帰り支度をし、急いでS小屋を飛び出し下山した。
昨日の雨のせいで地面はぬかるんでいたが、そんなものはおかまいなしに皆、夢中で下山した。
とにかく、一刻も早くこの森から出たかった。
すると一番最初に立ち寄った山小屋を見つけ、僕らはそこに飛び込みオーナーに全てを話した。
するとオーナーは
「生きてて良かった‥生きてて良かった‥!」
と僕の手をぎゅっと握り、僕らは安堵からか腰が抜け、その場に座り込んでしまった。
オーナー「実は‥おれのところにも来たんだ。」
僕らは唖然とした。
その日、雨風が激しくなった為、山小屋で一晩過ごしたらしい。
僕らと同じ様な目にあったと言うのだ。
オーナー「こんな事‥初めてだ。一晩に山姫を大多数が目撃するなんて。何か胸騒ぎがする。君達、おれと一緒に山を下りよう。今すぐにだ。」
そう言うと僕らは山を下り、ふもとの食事所で休息した。
オーナーは一度家族のもとに帰るらしく、一旦別れた。
B「しかし‥なんだったんだろうあれ。やっぱり山‥」
C「もうよせよ‥。とにかく無事で良かったよ。もう帰ろう。」
A「そうだな‥思い出したくもねぇ。」
暖かな豚汁をすすろうとしたその時
ゴゴゴッ‥!!!
鈍い地響きが鳴り響いた。
地震か!?
僕は一瞬そう思ったが、外の森の光景を目の当たりにした時、それは違った。
土砂崩れだった。
それも大きな岩も転がってきて、地面にドンッドンッと落ちる。
あっという間に森のふもとは土埃にまみれ、外から悲鳴があちこちで響く。
僕らは訳が分からず店から出た。
ひどい光景だった。
車は潰れ、隣接していた建物や民家は土砂に埋もれていた。巻き込まれた人も何人かいたようだった。
その日のことは新聞やニュースで大きく取り沙汰された。
怪我人はわずか26人、行方不明者3人という多大な被害が、この土砂崩れの大きさを物語っていた。
8に続きます。
怖い話投稿:ホラーテラー ケンジさん
作者怖話