中編4
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無謀な検証

大抵の人は真正面からすごい勢いで誰かが走ってきたら圧倒されてしまうだろう。

その理論は幽霊にも通用するだろうか?検証してみた。

場所は深夜の墓地に丑三つ時というベストチョイス。眠気覚ましに缶コーヒーを飲んで検証開始。

「うぉぉぉぉぉ!!」

叫びながら墓地内を駆け回る。通報されないか心配だが叫ぶのは止めない。

猛ダッシュのまま5周目にさしかかって(やはりこの理論は正しい)と思った瞬間

ドゴッ!!!

俺は『ラリアット』されてしまった。薄れゆく意識の中で目に映ったのは…

子供の頃にテレビでよく見ていたプロレスラーだった。

そして最期に聞こえた言葉

「五月蝿いよ」

気が付いたら朝だった。もう馬鹿な事は辞めよう…

三日間だけ反省した

さて反省も終わったし次の検証を行うか。

今回は幽霊にホラーは通用するか?心霊スポットにて有名な恐怖のアクションを実行してみる。

場所は近所最恐の○○廃病院。時刻は午前1時。

懐中電灯を片手におそるおそる進む。

実を言うと俺は人一倍怖がりなんだ。

体当たり実験する理由のひとつに『ショック療法』になれば…というのもある。

目的地に到着。建物中心部にある大階段だ。

俺はおもむろにブリッジ体勢になり、そのまま階段を上り始める。

踊り場まで来たがかなり辛い。そして恐怖も襲ってくる。

(早く出てこい…体力が持たない…)

想いが通じたのか上の方から音が聞こえてきた

ペタペタコツコツ

ペタペタコツコツ

ペタペタコツコツ

すると突然暗闇から白い顔が現れた。女だ。顔の向きが同じ方向…相手もブリッジをしているらしい。

疲労と恐怖で腰を抜かしそうになった時だった

「ぎぃやぁぁぁぁぁ!」

断末魔に似た叫び声を上げて女はザザザザザと上に去って行った。

俺は走って逃げた!逃げながら考えていた。

(どうして女は戻って行ったのか…何を見た?俺の顔?)

(そうか、あの時えげつない顔になってたんだな俺)

兎にも角にも今回は気絶しなくて良かった…と親友に話すと爆笑された。

次回はコイツを助手に連れて行こうと決めた。

さて次なる検証を思い付いた訳だが、今回は頭数が必要になった。

深夜に出来るだけ人数が集まる日を相談し決定した。総勢8名の有志

遊び半分で肝試しをすると取り憑かれると言うが俺は本気だ!ノーベル賞を獲る為の検証なのだから…

しかし幽霊サイドからすれば、そんなのどうだって良いらしい事を後に思い知らされる。

場所は○○村

心霊スポットとして有名な廃村だ。時刻は午前1時。

ワンボックス車に軽トラの2台体制で到着。

軽トラの荷台には『おみこし』

そう今回の検証は…祭り好きな日本人は幽霊になっても祭り好きなのか?

準備を終え盆踊りの曲をラジカセで流す。みこしは地元の青年団で借りてきた物で小型ながらきらびやかな装飾がなされている。

祭りを開始する。

6人でみこしを担ぎ残りの2人が周りで大きなうちわを扇ぐ。

「わっしょい!わっしょい!」

男たちの掛け声と盆踊りの曲が流れる深夜の廃村はとても混沌としていた…

冷静にはたから見たら、これ自体がオカルトだろう。

少しして異変が起こる。8人しかいないはず、しかし人数を数えると…

20人くらい居た。ぼやーっとした人影が混じって踊っていた。みんなも気付いているみたいだが祭りは終わらない…

しばらくして曲が終わった。

その途端ぼやーっとした人影は

ワサワサワサワサワサ

と蜘蛛の子を散らしたようにそれぞれの廃屋に戻って行った。

俺達は無言で素早く荷物を片付け退散した。

みんな怖がってるのか?と思ったが違っていた。

帰りの車中

「すげーもん見たな!」

「何か楽しかった!」

「また馬鹿な事しような!」と盛り上がっていた。

しかし俺にとって重大な事件は家に帰ってから起きた…

祭りの翌日から「何か」に付きまとわれている。

それが何なのか?正体が掴めない…

とりあえず祭りの時のメンバーに連絡してみる。すると返ってきたのはドッキリ?と思うほど同じセリフだった。

「あのあと変わった事とか無かった?」

「別に無いけど?あ!もしかして…お前…」

何だか悔しくて最後の1人に至っては最後まで聞く前に電話を切ってしまった。

視線を動かす度に「何か」が視界に入り、そのあと一瞬でサッと隠れてしまう。残像のような人影しか見えない。

最悪だ…とり憑かれた。

いや、これは絶好のチャンス!?

わざわざ被験者が家まで来てくれた!そう思うと恐怖は消えた。

さあ検証を始めよう…と思ったが相手は姿を現さない。どうしよう?そうだ!

うってつけの作戦を思い付く。それは日本人のほとんどが知っているであろう遊び…

幸い今日は家に誰も居ない、全力を尽くせる。

見渡せる廊下にて俺は大声を出す

「だーるーまーさーんーがこーろーんーだ」

バッと振り返ると廊下の向こう端でサッと人影が見えた。

「だーるーまーさーんーがこーろーんーだ」

バッと振り返ると廊下の途中の部屋にサッと入るのが見えた。

近づいてきている…もう隠れる場所は無いぞ。どうするのだろうか?

「だーるーまーさっ!?」肩に冷たい感覚が走る。真後ろに来ている。ついにご対面か…意を決して振り返るとそこには

半透明な少女が立っていた。金縛りに襲われ、忘れていた恐怖が戻ってきた。

すると少女が言葉を発した

「お祭り楽しかった…ありがとう…」

そう言うと微笑みながら消えていった。

金縛りが解けた俺は考えていた。こんな俺でも人(幽霊)の役にたてるんだ、と。

そして俺は検証結果をまとめ、ノーベル賞…の前に教授に提出した。

後日教授に言われた

「無謀な検証をしたねぇ。でも恐怖も人間の大事な感情の1つだから研究としては面白い」と何か企んだ笑顔を向けられた。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん    

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