短編2
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御札の家

地元では結構有名な『御札の家』そこに俺達は来ていた

「立入禁止」

プレートのさがった鎖を俺達は跨いだ

噂ではバリケードや有刺鉄線があるって話だったが見当たらない

俺達は懐中電灯を一つ持って坂を下りていく

しばらく行くと、廃墟が一軒見えてきた

『御札の家』にはダミーがあるそうだ。多分これがそうだろう。脇にある獣道を抜けると本物があるらしい

俺達は家の周りを一周して見た。頭の無い日本人形、大きなゴリラのヌイグルミ、薪、周りには物が散乱していた

だが、肝心の獣道が見つからない

B「獣道なんかないで?」

俺「間違えたか?バリケードも有刺鉄線も無かったし」

B「とりあえずこの家入ってみるか?御札があればここじゃろ」

そう言ってBが玄関の戸に手をかけた瞬間、俺達は後ろに引っ張られた

俺「うおっ!?」B「うわっ!」

突然の事に驚き後ろを振り返る。するとAが俺達の服を掴んでいた

俺「えっなに?」

B「びびったぁ!脅かすなよ」

A「しっ黙れ」

Aは人差し指を立てて唇に当てている。顔はかなり真剣だ。月明かりでAの顎から汗が落ちているのが見える

A「喋るなよ。あと見るな。今二階からこっちを見ようるやつがおる。絶対見るなよ」

Aは視える奴だ。だから連れてきた

A「このまま帰るで。今なら見逃してくれる」

A「かも…」

その言葉に俺達は緊張する

見逃してくれなかったら?

A「とにかく帰ろう。騒がずゆっくりな。絶対に後は振り返るなよ」

俺とBは黙って頷き、歩き出す

坂道を半分ほど上った所で突然Bが叫んだ

Bを見ると後ろを振り返っている

俺(この馬鹿振り返りやがった!)

A「走れ!!」

その声で俺達は一斉に走り出す

俺とAは鎖を飛び越える

振り返っていたBが少し遅れている

Bが鎖を越えようとした瞬間、動きが止まる

A「うおおぉぉ!」

それを見たAはBの手を掴み強引に鎖の外に引き寄せた。勢いで二人は地面に転がる

A「大丈夫…この先には来れん。大丈夫」

地面に転がったままBは涙を流して泣いていた。首を掴まれたそうだ

あれが『御札の家』だったかはわからないが、こうして俺達は三人無事で家に帰ることが出来た

それから1週間、BはAに昼飯を奢っていた

友情…

Priceless

怖い話投稿:ホラーテラー Mさん  

Concrete
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