中編4
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~始まりと契約~

俺は何処にでも居るような高校生。

人と比べ特別ずば抜けているものなんかない。

ただ違うのは…俺の家系は祓い人ってくらいかな?

高校に上がる頃、両親を事故で亡くした。

2人で出かけた先で、突然車が爆発したと聞かされた。

父と母の遺体は見付かっておらず、あの爆発なら粉々に飛び散った可能性があると言われた。

遺体の無い葬式。

じいちゃんが

「自分のせいだ」

と俺に何度も泣きながら謝っていた。

俺は何故謝られているのかさっぱり解らなかったけど…。

その後父方の親戚の家に預けられたんだ。

父さんの弟夫婦…厳しい所もあるが、凄く親切にしてくれる。

その家にはじいちゃんも同居してて、俺は事ある毎にじいちゃんの部屋に居た。

そして、吸い寄せられるようにアレに触れてしまったんだ…。

~始まり~

信「じいちゃん!おじさんが呼んでるよ!」

何度じいちゃんを呼んでも返事がない。

俺は部屋までじいちゃんを呼びに行った。

襖を開ける…が、そこにじいちゃんの姿は無かった。

信「あれ?おかしいなぁ…。ん?」

丁度部屋の真ん中に小さな箱が置いてあった。

ソレは、いつもじいちゃんが大事そうに持っているものだ。

吸い寄せられる様に自然と体が箱に向かい、ソレを開けてしまったんだ。

中にはピンポン玉程の虹色の勾玉が入っていた。

信「何だろうこれ?凄く綺麗な色だなぁ」

俺は勾玉を取り出してしまった。

バチっと言う音と共に手に痛みが走る。

思わず勾玉を落としてしまった。

手を見ると指から血を流している。

信「痛っ!?何かに引っ掛けたのかなぁ?あっ…じいちゃんの勾玉…」

床に落ちた勾玉を見ると、虹色が見る見るうちに真っ赤に染まっていった。

?「あ~ぁ…。契約しちまったんかぁ。せっかく光守が遠ざけてたんになぁ~(笑)」

背後から声がした。

振り向くと、そこには同い年位の男が立っている。

信「誰??」

?「やっと見えたか…。俺月丸(げつまる)ってんの♪これからよろしくな~。」

信「月丸?」

その時、バン!!っと襖が開いた。

血相を変えたじいちゃん肩で息をしながらが立っている。

光守「信!!ワシの…」

そこまで言うと、驚いた顔をしてこちらに近寄ってきた。

光守「それに触ったんか?信!!触ってしまったんか!!」

今まで聞いた事のない声で、じいちゃんは俺を揺さぶった。

信「ごめんなさい…」

じいちゃんは気の抜けた様にガクっと肩を落とした。

光守「そうか…。契約してしまったんか…。信ごめんよ。こんな事に巻き込むつもりは無かったんじゃ…。ワシ等だけじゃ不十分って事か…。クソが!」

信「じいちゃん…状況が飲み込めないんだけど?何で勾玉は色が?っと言うよりもこの人は?」

光守「こやつは人に在らず。代々神野家に居るモノじゃ」

信「えっ!?」

光守「勾玉の新たな契約主に使える事になっておる。これからは信…お前の守りモノになる」

月丸「そうそう♪よろしくなぁ~」

信「ちょっ!話が見えないんだけど…」

じいちゃんは少し考え、話しだした。

光守「門の所の勾玉は知っているな?あそこからこちらは現世であって現世じゃない。」

信「どう言うこと?」

光守「昔この土地は神が住んでいた所なんじゃ。ワシ等の遠い先祖が、死にそうになって居たところを、この地に住む神が条件を飲むのならば助けてやる!と言われたのが神野家の始まりじゃ…」

信「条件とは何だったの?」

光守「神を守り、神が出す任務を遂行すること…」

信「任務??」

光守「それは後々解るじゃろ。この勾玉はその神との契約の記しじゃ…。」

じいちゃんは勾玉を箱にしまいはじめた。

光守「今日も持ち歩いとったんに…。気が付けば無くて…。なんでここにあったんじゃ。信…この際だから話しておくんじゃが…」

じいちゃんが改まって話し始めた。

  光守「お前は元は霊と呼ばれるモノが見えていたんじゃ」

信「えっ!?」

光守「昔な…信がまだ小さい頃、もの凄く強い力を持っていたんじゃ。しかし、その力をアヤツ等は欲しようとお前に近づいて来たんじゃ。ワシ等は来るモノ達を祓っておったんじゃが、小さいお前は負の力に当てられてな…。1週間も寝込んだ。見かねた両親がお前の力を封じて欲しいと頼みこんできたんじゃ。上手くお前の力を封じる事が成功したんじゃが…この勾玉を触ったせいで、その封印も解かれてしまった…」

信「そんな漠然とした話をされても…」

光守「既に目の前に月丸が見えとるじゃろ?」

信「…」

光守「これから嫌って程解ってくるじゃろ。力の使い方は月丸が知っておる。ただ…自分を過信し過ぎたらいけない」

じいちゃんが何の話をしているのか良く解らない。

そして、もっと重大な何かを俺に隠している様に見えた。

コンコンっと叩く音がし襖が開いた。

力矢「信!オヤジ呼ぶのに何時間かかってんだ?」

光守「力矢…信が契約してしまった」

力矢「…そうか。俺達にゃ出来なかったのに信が選ばれたのか」

おじさんは少し考えている様子で、何度か頭を掻いた。

力矢「信!大変だと思うが頑張れよ!…おし!飯食うぞ!」

光守「今日は沢山食って良く寝なさい」

そう言うと2人は廊下へ消えて行った。

いつの間にか月丸の姿が見当たらない。

契約だの封印だのと、未だに信じられない話しばかりだ。

考えたら考えるだけ話が解らなくなる。

取り合えず俺は自分の部屋に向かった。

部屋に行く途中、窓から見える月がやけに悲しそうに見えた。

怖い話投稿:ホラーテラー 優さん  

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