短編2
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極楽荘

極楽荘

センスを疑うこの名前

そこは有名な心霊スポット

ある会社の外国人寮の名前だ

今は建物すら無くなっている

これは取り壊される前の話

俺は友人Aと一緒に極楽荘に来ていた

そこが近々取り壊されると聞き、その前に行っておこうという話になったからだ

正面玄関の鍵はかかっていない

最初の部屋のドアを開ける。六畳ほどの部屋の中には二段ベッドが2つ置いてある。恐らく一部屋に四人で暮らしていたのだろう。この狭い中に男四人…俺には耐えられそうもないな

その後も順番に部屋を見て回るが、特になにもない。全て同じ構造、同じ二段ベッド

一階、二階は全て見た。そして三階

三階に上がった時、少し違和感を感じたが気にせず探索を続ける

引き続き順番に部屋を見て回っていると、大きな部屋が一つだけあった。一、二階にはなかった部屋だ

その部屋は異様だった。奥にもう一つ部屋があるようなのだが、ドアは無く変わりに板が無茶苦茶に打ち付けてある。

板の隙間からAが中を覗く。その瞬間、Aが尻餅をついた

俺は慌てて駆け寄る。なにがあったか聞いてみるがAは奥を指差し

「眼が…眼が…」

そう繰り返している

俺も覗いてみようと板に近寄ろうとすると、Aが俺の腕を掴み

「駄目だ…帰ろう…」

そう言って俺を引っ張った

俺も覗いて見たかったが、渋々帰ることにした。歩いている間、Aはずっと無言だった

帰りの車の中でようやくAが口を開く

「俺が覗いたら、向こうからもこっちを覗いてた…俺が後ろに倒れたら、全部の隙間から眼がこっちを見てたんだよ…」

震える声でそう話すA

俺には見えなかったが、Aには確かに見えたらしい

その日からAは隙間を怖がるようになった。最初の数日間は部屋の隙間を全てガムテープで塞いでいたほどだ

あれから数年たち今ではだいぶ落ち着いたが、時々眼が覗いている気がするらしい

この話をする時、Aはいまだに全身を粟立たせ隙間を警戒して体を震わせる

怖い話投稿:ホラーテラー Mさん  

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