短編2
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蟲 前編

普段何気無くで殺してしまう虫

しかし虫も生きているということを忘れてはいけない

俺には小学生の時からの親友がいた。名前は道彦

俺達はいつも二人でつるんでいた。趣味も考え方も同じで、一緒にいると本当に楽しかった

だが、一つだけどうしても合わないことがあった

道彦は虫が大好きだった。いや正確には虫を殺すのがだ。触角を切り、足を一本ずつ抜いていき、最後はバラバラにして捨てる

小学生なら好奇心だったかもしれない

しかし道彦は中学、高校、大学生になっても止めなかった

恐らく夥しい数の虫を殺していたと思う

その日、俺は道彦の家に来ていた。道彦は一人暮らしだったから溜まり場にはもってこいだ

道彦「暇だな。虫採りに行こうぜ」

俺「お前まだ馬鹿なことやってんのか?もういい加減やめとけよ」

道彦「無理だな。やめられねぇよ」

俺「あのなぁ虫だって生きてんだぞ?可哀想だろ」

道彦「俺は生き物だと認めてないね。あいつらの中身なんてスッカスカか体液だぜ?なんで動いてんのか謎だよ」

そう言うと道彦は虫籠から蜘蛛を一匹取り出す

俺「おいやめろよ気持ち悪い」

道彦「痛み感じてんのかなこいつら?」

手慣れた手つきであっという間に解体されていく蜘蛛

俺「気分悪い……帰るわ」

これさえなければ本当に良い奴なんだが……そう思いながら立ち上がった

道彦「痛ッ!」

俺「ん?どうした?」

道彦「いやなんか背中が痛痒い」

俺「虫に刺されたんじゃない?」

道彦「ちょっと見てくれよ」

そう言い道彦がTシャツを脱ぐ。背中を見て俺は驚愕した

……

俺「お前これ仕込みだろ?」

道彦「は?」

俺「俺が蓮を苦手なの知っててやってんだろ?」

道彦の背中には、まるで蓮のようなブツブツができている。俺は蓮が大嫌いだ。生理的に受け付けない

俺「これなんか張り付けてんのか?」

俺は道彦の背中に手を伸ばし、ソレの一つに触れてみた

ボトッ

触った瞬間、ソレはまるで種のように外れて床に転がった

後編へ続く

怖い話投稿:ホラーテラー Mさん  

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