普段何気無くで殺してしまう虫
しかし虫も生きているということを忘れてはいけない
俺には小学生の時からの親友がいた。名前は道彦
俺達はいつも二人でつるんでいた。趣味も考え方も同じで、一緒にいると本当に楽しかった
だが、一つだけどうしても合わないことがあった
道彦は虫が大好きだった。いや正確には虫を殺すのがだ。触角を切り、足を一本ずつ抜いていき、最後はバラバラにして捨てる
小学生なら好奇心だったかもしれない
しかし道彦は中学、高校、大学生になっても止めなかった
恐らく夥しい数の虫を殺していたと思う
その日、俺は道彦の家に来ていた。道彦は一人暮らしだったから溜まり場にはもってこいだ
道彦「暇だな。虫採りに行こうぜ」
俺「お前まだ馬鹿なことやってんのか?もういい加減やめとけよ」
道彦「無理だな。やめられねぇよ」
俺「あのなぁ虫だって生きてんだぞ?可哀想だろ」
道彦「俺は生き物だと認めてないね。あいつらの中身なんてスッカスカか体液だぜ?なんで動いてんのか謎だよ」
そう言うと道彦は虫籠から蜘蛛を一匹取り出す
俺「おいやめろよ気持ち悪い」
道彦「痛み感じてんのかなこいつら?」
手慣れた手つきであっという間に解体されていく蜘蛛
俺「気分悪い……帰るわ」
これさえなければ本当に良い奴なんだが……そう思いながら立ち上がった
道彦「痛ッ!」
俺「ん?どうした?」
道彦「いやなんか背中が痛痒い」
俺「虫に刺されたんじゃない?」
道彦「ちょっと見てくれよ」
そう言い道彦がTシャツを脱ぐ。背中を見て俺は驚愕した
……
俺「お前これ仕込みだろ?」
道彦「は?」
俺「俺が蓮を苦手なの知っててやってんだろ?」
道彦の背中には、まるで蓮のようなブツブツができている。俺は蓮が大嫌いだ。生理的に受け付けない
俺「これなんか張り付けてんのか?」
俺は道彦の背中に手を伸ばし、ソレの一つに触れてみた
ボトッ
触った瞬間、ソレはまるで種のように外れて床に転がった
後編へ続く
怖い話投稿:ホラーテラー Mさん
作者怖話