中編3
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晴美さんのアパート

高校を卒業後プロのダンサーを目指す為上京して、昼間はパートで働いて、夜はダンスのスタジオに通っている若い女性で、仮に

晴美さんとしておきます。

晴美さんは毎日パートの仕事が終わるとその足で、スタジオに行きます。

ですから、そりゃ相当にしんどい訳で、レッスンを終えると、体力、気力を使い果たして、もう体はクタクタで、汗でびっしょり濡れた稽古着が体に張り付いてくる。

早く帰って、シャワーを浴びて、サッパリしたいのですが、スタジオからアパートまで、結構時間がかかるんですよね。

そこで、スタジオの近くに引っ越しする事にした晴美さんはダンススタジオの仲間の夕子さんに手伝いに来て貰い、室内の整頓と掃除、引っ越し作業をして、引っ越しが終了した。

『ああ、片付いた。じゃ、引っ越し祝いと手伝ってくれた夕子さんへのお礼を兼ねて、外でお食事しない』って話しになり、

出かける前に、お互い汗をかいているんで、

晴美さんが、

『あなた先にシャワー使ってよ』と言うと、

『そう、じゃお先に使わせて貰うね』と夕子さんが脱衣場に入ったのを見届けて、自分はジャージ姿なんで、シャワーを浴びてから着替えようと、服を出して待っていた。

すると突然、

バターン!!

と音を立てて、ドアが勢いよく開いたと思ったら、

真っ青な顔で夕子さんが飛び出してきた。

『ごめん、私帰る』って言ったんで、

『何で?』と聞くと、

『あたし、これから行く所あるの思い出したの。いったん帰って着替えなきゃならないから、ごめんね』

って言いながら玄関へ行ってしまった。

晴美さん追っていって、

『なんだか悪かったね』

と言うと、

『ううん』と首を振って、慌てて靴を履いているんで、もう一度、

『ねえ、何かあったの?』と聞くと

『ううん、何でない。何でない』

と言いながら、逃げるように帰っていっちゃた。

(おかしいな)

とは思ったんですが、自分もさっさとシャワーを浴びて、1人ですから、ありもので食事を簡単に済ませ、畳にゴロンと横になった。 テレビをつけてボケボケしながら、時間が過ぎていった。

と、不意にザワッと髪の毛を触られて、

(うわっ?)

と思わず起き上がった。

(えっ!?今、誰かに髪の毛を触られた…)

周りを見たんですが、勿論誰もいるはずない。

(何だろう今の?)

窓は閉まっているし、風は入ってこない。

(おかしいな?)

と思ったんですが、そのうちに、気のせいかなと思って、又、ボケ〜っとテレビを見るともなく見ていると

不意に近くで、

『ねえ』と女の声がした とたんに体が固まった。

(・・・テレビじゃない) 声は前からではなく、後ろから聞こえた。

誰もいない。

(当たり前だ。この部屋には自分1人しかいないんだから)と思った。

多分、外の声が聞こえたのか、空耳だろうという事にした。

こんな事があってから2日して、レッスンが遅くに終わり疲れきって帰ってきた体はクタクタで体中が汗でべとついてる。

玄関を閉めるとすぐに風呂場に飛び込んで、頭から、サァ〜ッとシャワー浴びて浴槽に浸かって、両手を

ぐーっと前へ突きだして、 (ハァーッ!)と大きく息をついた。

と異臭が鼻を突いた。

続く。

怖い話投稿:ホラーテラー ABURAKATABURAさん  

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