中編5
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晴美さんのアパート2

前回のあらすじ

入浴中の晴美に突如襲い掛かる得体の知れない恐怖心の中で助けを求める晴美その心の叫びは、

ケンシロウに届くのか?

『北斗神拳VS北斗琉拳!

ケンシロウ貴様は修羅の国の土となれ!!』

続き。

浴槽の中で大きく息をついた晴美さん。

ふと、異臭が鼻を突いた。

(うん、何だろう?何だろうこれ。臭うな。お臭ってんのかな。

それとも、排水口に何か腐ったものでも詰まっているんだろうか?)

いったん浴槽から出て、浴槽の栓を抜くと、お湯がズーーッと流れ出て、とたんに洗い場にぶわっとお湯があふれてきた。

(ええっ、やっぱり排水口が詰まっているんだな)

とっさにカバーを外して覗いたとたん、

『あらーっ』と声を上げた。

排水口にびっしりと濡れた髪の毛が詰まっている。

(うわっ、気持ち悪い)

嫌ですがこの際、自分の手で掴み出すしかない。

恐々、排水口の中に左手を突っ込むと、そ〜っと掴んだ。

ザワッとした感触が指にまとわりつくのを、ぐーっと引き上げた。

と、ズルズルズルズルと出てくる。かなりの量の髪の毛。異臭を放っている。

(あらっ!?)

髪の毛を掴んでいる左手の指先が、赤く染まっている(えっ、何、これ。)

そのとたん、ふっと、明かりが消えて、真っ暗になった。

(わっ!?停電かな?電球が切れたのかな?よわったな…)

と思ったその時、真っ暗な闇の中で、何かが動くのを感じた。

(何だろう?)と目を凝らしていると、突然、

シャー―――ッ

と音を立てて、シャワーが勝手に噴き出した。

ビックリしてすぐにとめようと、闇の中で手を伸ばして、シャワーの蛇口を掴んだとたん、慌てて手を引っ込めた。

(えっ…、何?)

今掴んだそれは、冷たく冷えた女の手だったんです。 この真っ暗闇の中に、得体の知れない何者かがいる 悲鳴を上げて、飛び出したいところですが、相手の正体がわからないし、自分の隣に居るのかもしれない、と思うと恐くて動けない心臓が、ドックン、ドックン、ドックン、ドックンと鳴っている。

全く音が無い。静寂の中で耳がジーンと鳴っている。

(ん!?何か物音がする)

…うー…うー…ううー……

(いる。やっぱりいる。)

それがどうやら、自分の頭のすぐ真上の辺りでしているとわかった。

…うー…うー…うううー…

その時、又、蛇口をひねってもないのにシャワーが

シャーーッと出て頭からそれをかぶってしまった。

(何か、生臭い。)

と思ったその時、浴槽から

ドバーーンと何かが飛び出してきて浴槽の中にひきづり込まれ頭から、何者かにおさえつけられた。

(嘘?浴槽のお湯は抜いたはずなのに…)

恐怖と息苦しさから今にも気絶しそうになるのを耐えて、ただもう必死に祈った

(助けてください。助けてください。助けてください)

そのうち意識がだんだん、だんだんと薄れてゆき朦朧としてきた。

(あぁ〜このまま死んでしまうだな〜)と思った。

すると、(うん?)

おさえつけられてた頭が軽くなった。急いで息を吸う為、頭を上げた。

(プハーーッ)息苦しさから解放された途端、

浴槽から何者かの息づかいがする。

…う―…う―…うう―……

その時、ふっと明かりがついた。浴槽は血の海だった 悲鳴を上げて飛び出そうとした時、

゙バッ″と腕をつかまれ痛っと思い振り返ると長い髪の毛の女が、う―…うう―…う―…と言いながら、

手首に思いっきり噛みついていて、手首からは血がたくさん出てきていて、

この時、晴美さん、

(相手は生きてる人間じゃない。このまま死んじゃうんだ)と思った。と同時に

キンコーン キンコーン チャイムが鳴って

『あたしだけど開けて!』と声がした時、手首の痛みは消えて浴槽も普通の浴槽に戻っていました。

まだ何者かがいるかも知れない。用心しながら浴室を飛び出し、すぐにドアを開くと夕子さんが飛び込んきて、

『すぐに着がえて』夕子さんがいうと泣きながら着がえた晴美さんを手を引っ張り夕子さんのアパートに急いだ。

様子が普通じゃない。

『大丈夫?』と夕子さんが聞くと、晴美さんが震えながら、

『…帰ってすぐにシャワー浴びて、お風呂につかって…急に明かりが消えて真っ暗になっちゃって…』

と、つい今し方、起こった出来事を話すと、

聞いていた夕子さんの顔から、みるみる血の気が引いてゆくのが見てとれた。 晴美さんが、

『ねえ、あなたさ、この間引っ越しの手伝いに来てくれたときに、慌てて帰って行ったじゃない。あなた、何か知ってるんじゃない?』と聞きだすと夕子さんが声を震わせて、

『うん、あのね、あなたのアパートに行った時にね私、あの部屋、前に一度行った事があるような、そんな気がしたの。

でもね、アパートの名前が変わっていたから、わからなかったんだけれど、

お風呂に入って、シャワーを浴びてたらね、浴槽と壁の間から、お湯に流されて、ビニールにくるんだお札が出てきたのよ。それを見てわかったの。

あの部屋ね、以前に私たちと同じ、ダンススタジオに通っている女の子が住んでたんだけれど、彼女、あのお風呂場で自殺してるのよ。

葬儀の準備があるんで、何人かであの部屋に行った時に、女の子の1人がね、小さなビニールの袋にお札入れてね、それをくるんで彼女が死んでいた浴槽の裏にそれつけてきたの。

それが、シャワーしている時に流れて出てきたの。それでわかったの』

と言ったので、

『ねえ、彼女って一体何で自殺したの?』って聞くと 『うん、彼女ね、小さい時にね、事故で片方の耳をなくしてるのよ。

長い髪の毛で隠して普段わからないんだけど、舞台の公演があってね、髪をアップにする事になったわけ。 そうしたら、耳がない事がばれちゃうじゃない。舞台に立てないじゃない。

誰にも相談できないし、1人で悩んでノイローゼになってね。スタジオに来なくなっちゃったの。

外にも出ないでずっと部屋に閉じこもちゃってね。心配になって仲間で行ったんだけれど、部屋の様子がどうもおかしいので、大家さんに言って開けてもらったらね、彼女、お風呂場で自分で髪の毛切ってね、

その髪の毛が洗い場一面を黒く覆っていて、その中で彼女、血に赤く染まった浴槽のお湯の中に、手首を切った腕をぐっと突っ込んで、死んでたの』

と話してくれたそうですよ。

怖い話投稿:ホラーテラー ABURAKATABURAさん  

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