長編11
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無蘭島

予め断っとくけど、この話はすごい長いし、本当に暇な人だけ読んで下さい。

ケータイで投稿してるから強制分割されちゃうけど、そこはご了承の上でって感じでよろしくね。

あれはおれが20歳だった時の事。

10年以上も前の話だ。

皆でどっか行きたいな、って仲間と話してたんだ。

じゃ旅行行くか、ってなってさ、おれ含めた6人で計画立てて。

どうせ行くんなら、誰も来ないような所にしよう、とかワイワイやってた。

そこで某〇〇県の沖に位置する、とある離島に4泊位で行くか、ってなって全員一致で決定したんだ。

南の島だし、なんたってパンフレットの青い海と白い砂浜にやられたしね。

―もちろんこの時は、おれ達はあんな事になるなんてまだ知るよしもなかったんだけども‥。

当日、おれ達は〇〇県に着き、そこから船で向かい、離島へ到着した。

まさにバカンスって感じで、太陽が眩しくて、海が青くて澄みきってて‥

酒飲んだり泳いだり、肌焼いたりでおれ達は心からしゃぎまくった。

ふと目をやるとさ、そんなに遠くない距離に小さな島があったんだ。

あそこなんだろうな、無人島かな、とか仲間と話してて。

もし行けるんだったらちょっと行ってみたいな、とかさ。

地元の猟師らしい人が居てさ、あの島はなに?船で行ける?って聞いたらその人、顔色が真っ青になった。

「“無蘭島”か‥?あそこに何の用があるのかは知らんけど、あの島へ出せる船はないし何もないよ。」

って言うんだよ。

“出せない”?

って事は無人島?って聞くと

「“無人”ではないけど‥“無人”でもあるというか‥。まぁとにかくあの島への船はないし、そもそも近づくべき場所じゃない。ここで楽しんだらいい」

“無人ではないけど”?“近づくべき場所ではない”?

そんな事を言って去ってった。

“無蘭島”‥

おれ達はすごい無蘭島に興味を持ったんだよね。

あの口ぶりからどんな所か気になったし、何より無人島っぽい様な事言ってたからワクワクしたしさ。

誰もいないんだったら裸で泳げるな!とか仲間と話してて。

でも、完全に“いわくつき”なのは確かだったが‥。

船をチャーターする事になり船屋に行っても、無理だ、行けない、そもそもあの島へ何の用だ、の一点張り。

諦めかけた時、仲間の一人が、ジェットスキー借りて行こうぜ、って名案を思い付いたんだ。

早速おれ達は“無蘭島”へ行ってみる事へした。 

全員、マリンバイトをよくしてたから免許は持っていたしね。

運転は慣れてた。

酒飲んでた奴は後ろに乗っけてさ。

飲酒運転はご法度だしな。

んで、飲み物や靴を持って早速無蘭島へ向かった。

まぁ本当にすぐに着いたんだ。

こんな近かったんだ、ってびっくりする位。

島全体を見渡すと、うっそうと繁ったジャングル‥というか木々っていうかさ。

ビーチにも誰もいなかったし、多分無人島だろ、穴場じゃんっておれ達全裸になってはしゃぎまくったよ。

しばらくすると、誰かに見つめられてるような感じがした。

それも複数のね。

気のせいだろって気にしなかったけど。

そんで、ジャングルの中央から煙が上がってる事におれ達は気づいたんだ。

‥誰かいるのか?おれ達以外に?

行ってみるか、ってジャングルの中に行く事になった。

まぁ人がいれば店とかもあるだろうし、地元の人が忌み嫌ってた理由もわかるかもしれなかったから、とりあえずジャングルに入り奥へ進んだ。

ジャングルの内部は原生林?みたいな感じで、本当に日本かどうか疑った。

すごい湿気で蒸し暑いし、人が住んでる様な場所にはおれには思えなかった。

しばらく歩くと、獣道みたくなってきてさ、何かが長年その道を通り、草木を薙ぎ倒したようなね。

その途中変な立て札があり、薄汚れた文字でこう綴ってあった。

“大日本帝國ニテ非ナル地 地ハ羅馬尼亜ト表ハス此ナリ”

なんだ‥?これは。

何て読むんだこれ、羅馬‥?

大日本帝國?

その札の意味はわからなかったが、皆なんとなく不気味に感じた。

引き返すか、ってなったんだけどおれ達完全に迷ってたんだよね。

だからとりあえず前に進む事にしたんだ。

歩いてたら急に道が広くなってさ、先を見ると村みたいのが見えたんだよ。

でもなんとなく怖いからさ、慎重に近づいて茂みから覗いてみると驚いた。

なんか、外国の部族が住んでるような高床式住居みたいな家とか、茅葺きの昔の古臭い家(まぁしっかりした家っちゃ家なんだけど)ばっかでさ、もうまさに村って表現が正しかった。

こんな所あんのかよ、って。

おれ達村に入ってみたんだ。

そしたら、誰もいない。

焚火とかそのままで、鶏が歩いててさ‥さっきまでここに居たのに、急に居なくなった感じ。気配は感じる。

次の瞬間

ウァオァ~ッ

物凄い叫び声が聞こえて振り向くと、武器もった奴らがおれ達目掛けて走ってきたんだ!

おれ達は逃げた。

とにかく走った。

今までの人生の中であんなに走ったのは、後にも先にもあの時だけだったろうな。

だってさ、信じられないだろうけど、石とか槍とかが飛んでくるんだ。

後ろ振り向くとすげぇ形相。

あぁ、おれ達を殺す気なんだなって思った。

殺気が伝わる。

だから必死に走ったんだ。

こんな訳わからん場所で死ぬのはごめんだ、って。

その村人?達は日本人ではないような顔つきだったんだ。

タイやベトナム人と日本人を混ぜたような感じだったな。

なんか叫んでるのが聞こえた。

“悪魔だ”“悪魔は燃やせ”“心臓に杭を穿つ”とか言ってんの。

あとは日本語じゃない様な言葉で意味不明。

悪魔?おれ達が?

とにかく、再びジャングルに入り縦横無尽に走り回って何とかまいてさ、入江みたいな所に着いてそこの洞窟に身を潜めたんだ。

まだ遠くで奴らの怒号が聞こえる。

おれ達はもう心臓バクバクで、汗だくでさ、ガクブルしてたよ。

あいつらなんなんだ、わかんねぇよ、とにかく殺されちまうぞ、早くこの島から出るぞ、って相当おれ達パニクってた。

まず自分達がいる場所がわかんなくてさ、とりあえず島の外側ギリギリを歩いて行けば、スキーの止めてある砂浜に着くだろ、っておれ達は進んだんだ。

幸いにも小さな島だったし。

海岸沿いの崖下の岩場を慎重に進んだ。

すると、信じられないような光景が目に写った。

ロープに吊された白骨化死体が、風がなびく度にバタバタと揺れていたんだ。

明らかに人間だった。

それも、30体くらい連なってさ。

表現が悪いかもしれないけど、洗濯物みたいに吊されてて。

良く見ると、まだ白骨化していないミイラの様な死体もあったし、真新しかった。

なぜか死体の全部には、胸に杭が貫かれてた‥。

おれ達はたまらず嘔吐した。

なんだよこれ‥ダメだ、逃げなきゃやっぱり殺される!

その時、崖の上から声が聞こえた。

ヤバい、奴らだ。

俺達はまた走り出したよ。

足場は最悪で何回も転んだが、それ所じゃない。

あっ!

仲間の一人が短く叫んだ。

振り向くと足を抱えてのたうちまわってんだ。

短い矢が、そいつの右太ももに突き刺さってた。

オイオイ嘘だろ!?なんだこれ!?

いてぇよぉ‥、って悶えててさ、

仲間の誰かが

「とにかく走れ!」

って。

あろう事かおれ達はそいつを置いて再び走り出したんだよ。

仲間を見捨てちまった‥!

振り向かず走りに走ったおれ達は、何とか奴らを再びまく事ができた。

当然、おれ達の中にあいつはいなかったよ‥。(拉致られた仲間をAとするわ)

冷静になって、言い合いになったんだ。

Aはどうすんだ、このままじゃ殺されちまうぞって。

だが、あの場で全員が奴らに捕まるよりかは的確な判断だったとおれは思ったんだけど。

辺りは暗くなり、ケータイも繋がらないし‥不安が襲う。

そもそも奴らは何なんだ、と始まった。

初めに見たあの札は警告だったのか?

ここは何なんだ?と。

でも今はそんな事より、捕まったAやこれからをどうするかが先決。

結局、意を決して助けに行く事にしたんだ。

このまま見殺しにするのは胸糞悪いし、何より大切な仲間だったからさ。

5人の内3人が砂浜へ戻って奴らにばれない様に助けを求める事になり、おれともう一人の仲間で助けに行く事に。

そして早速チーム毎に別れ、おれは救出へ向かった。

村に近づくにつれ怒号が聞こえる。

ウオッ ウオッ ウオッ

飲み会のコールみたいだ。

勿論、あんなハッピーなもんじゃないけどね。

村に着くと、奴らはいた。

デカイ焚火を取り囲み、Aもその中にいた。

縛られて身動きがとれず、子犬みたいに縮こまってたよ。

良かった‥生きてた‥

奴らは、祈りを捧げていた。

ただひたすら。

そして時折、年寄りのじじいが訳わからん呪文みたいのを唱え、後ろでは数人が踊り狂ってたんだ。

中には子供や女もいる。

一体、何の儀式だ?

仲間を救うチャンスを茂みから伺っていたら、奴らはAをどこかへ運び出した。

こっそりついていくと、そこはこんな土地にそぐわない教会だった。

確かに、十字のマークがそれにはある。

奴らはAと教会の中に入り、すぐ出て来た。

だが、男の見張りを一人つけやがったんだよ。

おれは仲間と相槌を打った。

―やるしかない、って。

おれ達はこっそり後手に回りこみ、石で力一杯そいつをぶん殴ってさ。

抵抗されたが、おれ達も相当必死。

なんとか気絶させた。

慌てて中へ入ると、そこはまさに教会だったよ。

教会って言っても‥気持ち悪い感じ。

マリア像みたいな彫刻モンの下に妙な棺があって。

その棺にはでかい杭と、でかいハンマーが立てかけてあってゾッとしてさ。

まさか‥

って思っておれ達は恐る恐る棺を開けたんだ。

そこにはグルグルに縛られたAが閉じ込められてた。

Aは生きてた。

どうやら縛られて棺に押し込められただけだったんだ。

Aを棺から出して枷を解くと、Aは顔が涙と鼻水でグシャグシャになってた。

そら怖かったろうな。

普通なら気が狂っちまう。

無事で本当ホッとしたよ。

よし、逃げるぞ!

Aは矢で足を怪我しててとても走れる状態じゃなかったから、おれ達は肩を貸して小走りにその教会を去った。

早くこの島から出ないと‥

ジャングルを進み、とにかく海岸を目指した。

だが、

ウォォオ~ッ

奴らの怒号が鳴り響いた。

やっぱり気づかれたか‥!

Aは震えだし、

「あいつらやばい‥おれ達を殺す気なんだ。“悪魔”は、陽が昇る前に杭を心臓に刺して燃やさないとおれ達が殺される、って‥」

何を言っているのか意味不明だった。

でもAの怯え方は尋常じゃない。

その時気づいたんだけど、Aの体は異常にヌルヌルしてたんだ。

汗じゃなかったのは確かで、匂いを嗅ぐと古い油の様な匂い。

こんな時にどうでも良かったんだけどね。

すると、すぐ近くで声が聞こえたんだ。

おれ達はヤバい、ってなって茂みに隠れた。

そしたら奴らが数人現れた。

何か話しているが、何を言ってんのかサッパリわかんなかった。

でも時折、陽が昇る前に、とか、串刺しに、とか聞き取れたのね。

でも日本語なのかどうかわかんなかったよ。

こいつら本当に何者なんだ?

そして奴らがおれ達のいる方へ近づいて来た。

もう超至近距離。

奴らの足元の30cm先にはおれ達が身をかがめて息を殺してる状態。

心臓はバクバクでさ、この音でばれちまうんじゃねぇかって。

そいつらの手にはでかいナタや、こん棒が握られてたのがわかった。

見つかったら間違いなく、ここで殺られる‥!

しばらくすると、奴らはどこかへ去っていった。

おれ達は急いで海岸へ向かい、砂浜に着いたんだよ。

やった、逃げれるぞ!って大喜びして、ジェットスキーに向かって猛ダッシュした。

この時テンパりすぎて、チーム分けした他の仲間の事が頭になかったんだ。

Aを助けたし、とにかく逃げなきゃって。

だが

ウォォオ~ッ

後ろから奴らが追いかけてきた!

距離は60m位で、奴らは20人‥いやそれ以上いたな。

やべぇ急げ!

だけどおれ達は愕然とした。

無残な事にジェットスキーが全部大破してたんだよ。

奴らにぶっ壊されてたんだ。

奴らとの距離も縮まってきた。

殺される‥!  

おれ達は命を落とす覚悟を決めた。

だが声が聞こえた。

目の前の海を見ると5隻の小型船があってそれに乗った他の仲間達がいたんだ。

今助けるぞー!って。

おれ達は浅瀬まで走り、船に何とか乗り込めた。

助かった‥!

浜辺には不気味な声が轟いててさ、月明かりに照らされて、奴らがおれ達に向かって祈ってる姿が見えたんだ。

もう訳がわかんないよな。

何なんだ、って。

おれ達は皆抱き合いながら、良かった、助かったって泣いて喜んだよ。

無事だったのか、命はあるか、皆いるのか、って船長みたいな人達がこぞって安堵の声をかけてくれて。

すごい嬉しかったけど、今回の騒動はそれだけ重大な事だったみたいだった。

後日、おれ達がたっぷりお灸を据えられたのは言うまでもない。

スキーの返却があまりにも遅いので、不審に思った地元の人達の機転で運よく助かったそうだ。

夜中、浜辺に居た仲間達を発見した地元の人達は相当驚いたらしい。

ちなみにAは、あの時の深傷が化膿して緊急入院。

勿論おれ達も病院で検査を受けたけどね。

おじさん達から、無蘭島の真実について聞く事ができたんだ。

なんでもあの島は、日本領土にあるが住んでる人間は厳密に言うと“日本人”ではないらしい。

ずーっと遥か大昔、この国が戦争中だった頃、無蘭島は激しい戦地だった。

そして外国からたくさんの捕虜があの島へ連れてこられ、その生き残りと元々いた島民の“残党(子孫)”が彼ら。

あの島には独自の言語や文化が存在するという。

そのルーツは大昔、無蘭島はルーマニアとの交流が盛んであり、ルーマニア文化が色濃く伝わった。

大日本帝國だった頃は“羅馬尼亜(ルーマニア)”と表され、無蘭島という名もルーマニアの土地に因んでつけられたとか。

その名残で、ルーマニアに伝わる“ドラキュラ(悪魔)伝説”を今でも深く忌み嫌いそれに打ち勝つ西洋の神を信仰しているという。

彼らは島を戦地にする部外者を憎み、自分達の土地を荒らす者達を“悪魔”とした。

戦争が終わっても外部との接触を極力避け、近づく人間を“悪魔”だと信じ、昔からの風習が今でも色濃く残っているんだそうだ。

血が血を呼び、血で血を拭った、悪い歴史の残骸が無蘭島の真実。

未だにその名残がある哀しい島‥

あの島では過去の戦火がまだ消えず、何と戦っているのだろうか。

おれ達はただただ、頷く事しかできなかった。

怖い話投稿:ホラーテラー ―悪い歴史が生んだ悲劇の島― 

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