短編1
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五体不満足

僕には、

生まれてすぐに死んだ兄がいると聞かされていた。

しかし、

15歳の誕生日をもうすぐ迎えようとしていたある日、親から

「実は兄を排水溝に捨てた」

と聞かされた。

一瞬意味が分からず

「は!?」

と言った。

すると、

母がこういった。

「お前の兄は生まれたとき五体不満足だった、

初めそれでも可愛いがっていた、

でもね…

散歩している時に排水溝に落としちゃった、

その日の前日には大雨が降っていて、

水の流れがすごく速くて…拾い上げられなかった、

あの子に手足さえあれば拾い上げれたのに。」

それから少しして、

僕はやっと理解した。

「捨てた」のではなく、

「落とした」のだと。

それから、

さらに時が過ぎた、

約1年程だろうか。

マンホールの下から僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。

悲しみに満ちた声、

更に後から何かが聞こえて来た。

「テ…シヲ…セ」

もう一度聞こえた、

さっきよりははっきりと

「テ…シヲコ…セ」

また聞こえた、

はっきりと完璧に

「手足をよこせ」

僕は一瞬で悟った。

きっと兄だ、

兄がこの下に居る。

「手足をよこせ?」

逃げよう、

この下に居る兄が、

兄が俺の手足をねらっている。

しかし、

もう遅かった。

僕は、

後ろから化け物…

いや、

兄に手足を食いちぎられたのだ。

その日、

同時刻に母も、

父も手足を失った。

怖い話投稿:ホラーテラー 翔さん  

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