短編2
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去年の夏の話なんですけどね。

その日私は部活で帰りが遅くなっちゃって、真っ暗ななか、自転車を走らせていたんです。

私が住んでるとこは結構な田舎でして、帰り道に明かりなんかほとんどないんですよ。

そんな中、私は妙なことに気が付きました。

なんだかね、目の端になにか白いものがちらちら映るんですよ。

あれっ、と思ってその白いものがあった方に目を向けるんだけど、何もない。

それが何回も続くんです。

さすがにこれはただの見間違いやら錯覚じゃあない、幽霊かなにかじゃないか、と私はおっかなくなっちゃいまして。

なるべくその白いものを見ないように、顔を伏せながら自転車を漕いでたんですけどね。

なんだか、意識しちゃうとつい目がそっちに行っちゃって。

ついに私はそれがいったい何なのか、気付いてしまいました。

それは……。

でっっっかい白い犬のお尻。

いやいや、ふざけてるわけじゃないですよ。

もののけ姫ってジブリの映画、あるでしょ。

あれに出てくる山犬のモロってやつ。

あれと同じくらいに大きいお尻。

しかも、これまたでっかい尻尾を嬉しそうにぶんぶん振ってるんですよ。

はっきりとそれを認識した瞬間に、私はもう本当にびっくりしちゃって。

半ベソで帰路を急ぎました。

しかし、特にその白い犬になにかされたってわけでもなく、無事に家に着いたんですけどね。

到着した頃には見えなくなってたし。

あのときは本当に怖かったですよ。

もしかしたら、このばかでかい犬に食われちゃうんじゃないかって。

それ以来、その巨大な白い犬は見てないんですが、あれはいったい、何だったんでしょうね。

怖い話投稿:ホラーテラー 猫好きさん  

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