短編2
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玄界灘

中学時代の部活の合宿での出来事・・・

玄界灘に面した合宿所で

私たち部員は1泊することになった。

部員の数は男子が15人程、女子が20人程。

部屋は8人部屋の2段ベットが4台置いてある。

昼間のハードな稽古も終わり、

それぞれが部屋でくつろいだり、

近くを散歩したり自由行動をしていた。

私は同級生4人と女の先輩3人とで、

雑談をしていたところ、

『怖い話をしよう』と、一人の先輩が言い出した。

同級生の2人は怖い話が苦手なようで、

毛布に包まって話を聞いていた。

「ここの合宿所は第2次世界大戦時代、

病院として使われていたらしい。

今でも看護婦の霊が慌しく廊下を走るらしいよ」

・・・と言い出した。

それとほぼ同時に

廊下を慌しく走る音がする。

ギョッとして震える私達に先輩は、笑いながら部屋のドアノブを思いっきり開けた。

すると、そこには他の女の先輩が居て

ニヤニヤしている。

前もって私達を脅かす計画をしていたらしい。

先輩も幼稚なことをするなぁ~と、思っていると、

少しだけ開いたカーテンの隙間から

人の目玉らしきものが見える。

先輩が私達を脅かす為に、また仕掛けをしているのか?

それとも、男子部員が覗いているのか?・・・と思っていた。

先輩もその目玉に気づき

窓に近づいた。

カーテンを開けてみると

『窓にへばりつく顔』があった。

左のほっぺを窓にくっつけ、目玉だけがこっちを向いたような顔。

先輩はビックリしたようにカーテンを荒々しく閉め、

今度は私にカーテンを開けるように指示をした。

また何かの仕掛けでもしているんでしょ?

なんてお気楽な気持ちで

カーテンを開けた。

窓の向こうには

数え切れないほどの生首がプカプカ浮いている。

その生首は間違いなく海に浮かんでいるものだった。

その生首は同じ部屋に居た部員の全員が見ていた。

しかも、最初に見た『窓にへばりつく顔』は、

先輩のいたずらで出来るものではなかった。

なぜなら、窓の向こうは

人が通れないほど

すぐ近くに垣根があったからだ。

部屋にいたみんなが悲鳴やら泣き声やらで

うるさくなり、慌てて顧問がやってきた。

何があったかを話し、宿舎の管理者に事情を聞く。

すると、同じ体験をした人達が今までにも沢山いたらしい。

玄界灘には昔から、

大勢の人の水死体があがる場所で有名らしい。

「たまに、いたずらをする為に出てくるだけで、

いたずらはしないから安心して」ってさ・・・。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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