丸1日経つが喉の渇きが収まらないM。
私には見えていた。
左手にすがり付く皮膚を焼かれた子供を連れているMを。
私達は親戚の叔母さんの家へ行くことにした。この叔母さんは霊感が強く、半端に霊感のある私とMは叔母さんに気に入られていた。
叔「これはこれは……、招かざる客が来たね」
私「すいません……」
叔「見れば分かるよ、ちょいそこで待っとき」
叔母さんはそう言うと、玄関で私達を待たせ、部屋へと戻って行った。
数分経って
叔「お入り」
私達「お邪魔します」
叔「これ持って」
私「これは?」
私達はアルミホイルの包みを渡された。
叔「中にお塩が入っとるけん。ポケットに入れとくんだよ。」
黙ってアルミホイルをポケットに滑り込ませた。
私達は前日の話を事細かに説明した。道を間違え、山に登ると通行止めになっていたこと。車についてきた赤い服の女が手招きをしていたこと、叫ぶ男のこと、そしてMの左手を握る皮膚を焼かれた子供のこと……
Mはその事実を今知り震えている。
叔「分かった。Mが火を怖がったり、喉が渇くのは左手のその子せいだね」
更に続ける
叔「あんた逹の勘違いの1つ目は、ついてきたのはその子だけじゃない。あんた逹2人の間にいる赤い服のこの女」
全身の血の気が引く。
叔母が呟き私達の間にゆっくり腰をおろした。
叔「勘違いの2つ目、赤い服じゃなく、血だね」
叔母さんは私達の肩に手を置き、お経のようなものを唱えている。
叔「勘違い3つ目。ゆっくり動いてた手は、あんた逹を追っ払うためでも、招くためでもない。ただ手を伸ばし、助けを求めていただけだね。」
そう告げられた瞬間、涙が流れ出た。Mも泣いている。ただただ涙がでる。悲しいわけではない。嬉しいわけでもない。30分くらいに泣いただろうか。
叔「なんで、幽霊と呼ばれる類いのものは、川や海、山に多いかわかるかい?」
私達はその答えは解っていた。まがいなりにも幽霊を見てきた。
私「感情は水に溶けるから。」
叔「そう。海や川や、学校のプールとかで目撃が多いのはそのため。悔しいときや悲しいときに泣くとすっきりするのは涙に感情が溶けて流れるからだね。」
M「何でそんな話を?」
叔「あぁ。山を登って行ったら通行止めになってたって言ったよね?」
私「はい。」
叔「その先はダムよ。」
すみません。続きます。
怖い話投稿:ホラーテラー マヨさん
作者怖話