短編1
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ファミリー

「ただいま…」

最近、私に弟が出来た。たっくん。家族はたっくんに付きっきりで私には構ってくれない。ただ、たまに寂しい思いさせてごめんねと言ってくる。

テストで100点を取ってもそんなのに構ってられないとでも言うように、わーわー泣くたっくんに付きっきり。

ネチャ…

足の裏に気持ち悪い感覚がし、足をあげてみるとたっくんが吐き出した、おやつのまるぼーろがついていた。

本当にもう嫌だ…

「だ…だ…」

止めてよ

「たっくん、ミルクの時間よ」

「もう止めてよ!」

私が叫ぶと、静まり返った。

「止めてよ…正気に戻ってよ」

ベッドに横になってるたっくん…五階堂拓海…私のお父さん。髭を生やしてよだれを垂らし、哺乳瓶をねだってる。Tシャツに短パンで…そんな姿なんて見たくないよ。

「仕方ないのよ…拓海の会社が潰れてから、おかしくなっちゃったのよ。疲れたのよ…可哀想な拓海」

でも、そういうおばあちゃんは悲しそうで…どこか嬉しそう。

「拓海、ママがいないとすぐ泣いて…この子、私がいないと駄目なのね」

お母さんは、嫌になって先月出ていった。だからずっと会ってなかった祖父母の家にやって来たけど。

「拓海…拓海。幸せよ。本当はずっと寂しかった。お帰り…」

「拓海…たっくん」

ああ…

まともな人は誰もいない。

怖い話投稿:ホラーテラー 家さん  

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