短編2
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探偵と盗聴器

以前に、関東圏に幾つかの拠点のある中堅規模の探偵事務所に勤めていました。

知っている人も多いかと思いますが、この業界は特殊技術を要する分野を、探偵事務所の社員ではなく外部委託という形で行っています。

小さい事務所はもちろんのこと、かなりの規模の探偵事務所でも恐らくあまり変わらないんじゃないかと思います。

例えば、盗聴器の発見依頼については、小型マイクで集めた音声を無線経由で外部へ発信するタイプの調査は、

機器さえ揃えばマニュアル通り簡単にできます。

しかし、見当を付けた張り込みが必要になるレーザー式盗聴器や、外の電柱にある保安器に直接取り付けるタイプなどは

専門知識がないと調査はほぼ無理で、場合によっては電気関係の資格すら必要となります。

私が勤めていた所も、幾つかの外部業者と契約をしており、その内の一つに、前述の盗聴器発見を専門としている業者がありました。

実は、本当に盗聴器の発見だけを専門にしている業者は、日本でも数軒しかありません。

その業者は、多くの探偵社や興信所からの依頼を掛け持ちしており、業界では結構有名な所です。

こういうのもなんですが…

その業者、マッチポンプ営業しているんですよ…

昔からよくあるシロアリ駆除の詐欺みたいなもんですが、普通であれば発見困難な所に仕込んでおいて、盗聴した音声をテープに録音してポストに投函したり、

留守電に入れておくような、結構姑息な事をしています。

こうしておけば、探偵に依頼、そこでは手に負えないから自分の所に依頼が来る…というビジネスが成り立ちます。

もちろん、警察に通報する人も多いですが、そこは数打ちゃ当たる方式なんでしょうね。

同じ事をしていた盗聴器発見業者が、4,5年位前に警察の調査で暴露され、摘発されてニュースで報道されていましたが、

生き残った業者で、まだ同じ事をしている所もあります。

それから、あとは会社ぐるみじゃなくて完全に個人単位の問題なのですが、

その業者(というか担当者)が、盗聴された内容に興味を持って、恐喝に使ったり、ストーキング行為に使ったりもします。

探偵事務所側も、依頼者からの報酬が手元に入るし、背後でそのようなマッチポンプが描かれているなど知らないふりしてればリスクもなく、

特に不利益は被らないので、たまに「ほどほどにしとけよ」と業者に言う程度ですね。

悪徳探偵が絡んだ事件って意外とありますので、ネットで検索すれば次々見つかります。

社会の影の部分を担当している世界って、何かの拍子に依頼することがあっても、このような事もありますので、完全に信用しないほうが宜しいかと思います。

あ、「別業者の下請けは行っていない」とか「悪徳業者に注意!」などと強調している所ほど危ないかもしれませんので、宣伝文句も信用しないほうが…。

怖い話投稿:ホラーテラー Sockpuppetさん  

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