中編3
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山道を追ってくる者

経験された事のある方はご存じかも知れませんが、人気のあまりない山に一人で登山していると、ちょっとした事でも気になります。

私が臆病なせいもあると思いますが、カラスが羽ばたく音、枯れた木が折れる音、そして自分が地面を踏みしめる音など…

若い女性の単独登山は危険だから注意しろと言われる事もありますが、前からの趣味なので、時々こうして登山をしています。

特に2年前から会社勤めを始めたので、ストレスから逃避する意味も兼ねるようになりました。

そんな中、半年ほど前に四国のある山へ単独で登った時の話です。

登山して1時間ほどした頃に、ふと後ろを眺めると80~100mくらい先に誰かが居る事に気が付きました。

私はあまり眼が良いほうでもないし、見晴らしもそんなによくない山中でしたが、青い上着を着た人だという程度は判りました。

山道はまだしも、そこから脇に外れると樹木で遮られて薄暗く寂しい風景ばかりのため、他の人が居るというだけでも心強くなりましたが、

なぜか胸騒ぎを覚え、少しピッチを上げて再び始めました。

すると、後方の人も同じくらいペースを上げて、どんどん登って来ます。

だんだん怖くなってきて、全力で走り出しました。

それに合わせて、後方の人も速度を更に上げてきました。

ここまでくると、もう私を追いかけているとしか思えません。

(これは非常にやばい…!)

もう汗だくになって、息を切らしながら走り続け、10分ほどした時に途中下山のルートが見えてきました。

これ以上、頂上に向かうよりは下山したほうが良いと判断し、その下山ルートを全力で走りました。

走っている途中も後方をチラチラ見ましたが、若干差は開いたとはいえ、長い直線に差し掛かる度に相変わらず、例の青い服の人物が見え隠れしています。

周囲が薄暗い山道で、他に逃げ場もなく、出口もまだまだ先です。もうパニック状態になりました。

走りすぎて、だんだん横腹と喉が痛くなってきましたが、そんな事で止まっていられないという確信があったので、体の限界を超えるような時間走り続けました。

しばらくすると、前方に5人ほどの家族連れが見えました。方向的には、私と同じように下山中のようでした。

汗だくになって凄い形相で駆け寄ってきたのを見て、ひどく驚いた様子でしたが(当たり前か…)、「後ろから不審な人が追いかけて来て…」と説明しながら背後を見ると、そこにはもう誰も居ませんでした。

息を切らしながら事の顛末を説明すると、だんだん判って頂けたようで、携帯で警察へ不審者が居るという旨を連絡して貰えました。

もう一人で歩くのは嫌なので、そこから山の出口まで同行して事なきを得ましたが、

知り合いでも単独登山を趣味にしている女性で、登山中にガラの悪い男に絡まれて、非常に怖い目に遭ったという話も聞きます。

そんな出来事があってからは、念のための防衛策として護身スプレーは持ち歩くようにしました。

これがとっさに役に立つのか心配ではありますが…。

心霊現象とは関係ない出来事で申し訳ないですが、個人的に当時はもの凄い恐怖感に襲われたので投稿しました。

怖い話投稿:ホラーテラー Mu-Chanさん  

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