短編2
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再訪の人形

とある店が在る。

店には曰くに満ちた品が溢れている。

住人は店主と失声の少女、名を凪。

凪はいつか自分の買う品と、店主の語る奇憚に失った物を取り返せると信じている。

そして今日も……

風変わりな人形が棚に並んでいた。

その人形の頭には髪が無く、悲しげな雰囲気に凪は興味を抱いた。

「……」

凪は、人形と店主を交互に見つめる。

声は出なくとも、店主には必ず伝わった。

「その人形は、以前もこの店に在りました。この店に来るのは二度目です。また戻ってきたんです。それは……」

凪の大好きな時が始まった……

人形は愛されたかった。

最初の持ち主には愛され無かった。

気を引く為に髪を伸ばしたが、持ち主が死に無駄に終わった。

そして、店に流れて来た。

二番目の持ち主の女の子は人形を愛した。

髪の伸びる人形を不思議で羨ましいと言い、可愛がった。

自分の一番の友達、それから家族とも言った。

人形は嬉しかった。

求めていた幸せに満たされた。

髪の伸びる人形を、羨ましいと言うのには理由が在った。

それは、女の子は病に侵されていたという事。

薬の副作用で少しずつ髪が抜けていく。

髪が減っていく度に、女の子は衰弱していった。

やがて最後の時が来た。

人形は怖かった。

女の子が自分を構ってくれず、やっと手に入った幸せが壊れて行く事が。

人形は必死に考えた。

女の子はどうして動かない……?

嫌われた……?

そうだ、確か羨ましいと言っていた……

じゃあ……

息を引き取った女の子の枕元には、何かの髪が大量に落ちていた……

「人形は病とは知らず、嫉妬から嫌われたと勘違いをしたんですよ。自分の髪をあげれば、また愛してくれると」

凪の目に、人形がとても可哀想に映った。

「愛されたい一心で、自分の髪を差し出した人形。望みは叶わず、このような姿になった人形が不憫でなりません」

人形の為にと鋏を探し始めた凪を、店主は微笑みを浮かべながら止めた。

怖い話投稿:ホラーテラー 月凪さん  

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