短編2
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婆焼き

怖い話が嫌いな父から唯一聞いた話。

父は高校時代、昼間から制服のまま煙草を吸ったり、無免許で車を乗り回したりと、所謂ヤンキーというヤツだった。

ある日、友人の家で麻雀をした後の帰り道。

いつもは友人に車で送ってもらうのだが、その日は友人が家には帰らないと言い出したので、父は歩いて帰る事になった。

帰り道。今でこそ道が外灯等で明るいが、その頃は外灯などなく、月明りだけが頼りだった。

父が車通りのない道を歩いていた時、人影が見えた。

時刻は午前3時。こんな時間に人がいるなんて珍しいなと思いながら父は歩みを進める。

近付くにつれ、その何者かの姿が見えてきた。

父は歩みを止める。

ゾッとした。

それは、老婆だった。

老婆が父に背を向け、立っているのだ。

こんな時間に年寄りがいるなんておかしい、そう思った父は走ってその老婆を追い越した。

何かヤバい物見たな、と思いながら早足で家へむかった。

しかし、途中でまた歩みを止める。

先程見た老婆が立っているのだ。

ヤバい!絶対にヤバい!

父が友人の家へ戻ろうと思ったその時だっだ。

急に体が動かなくなった。

父は必死で体を動かそうとするが、体が全く言う事を聞かない。

そして、父の視線が老婆からはなせなくなった。

老婆がいつの間にか父の方を向いていた。

父は生きた心地がしなかった。

月明りに照らされた老婆は火で焼かれたかのように顔中が焼けただれており、この世の物とは思えない唸り声をあげながら近付いてきたのた。

なんでこんな事になるんだよ!俺は何もしてねぇじゃね絵かよ!

父は心の中で怒鳴った。

老婆は目の前まで迫っていた。

手首に激痛が走った。

見ると老婆が父の手首を掴んでいた。

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

悲鳴が聞こえ、そこで父は気を失った。

気がつくと父は病院のベットの上にいた。そばには祖母(父の母親)がいた。

「大丈夫かい?」

と祖母に尋ねられた。

祖母の話では、早朝、父が倒れているのを、ランニング中の近所のおっさんが発見し、運ばれたらしい。

父は昨夜あった事を祖母に話した。

祖母は話を聞くと急に深刻な顔をして呟いた。

「婆焼き……」

父は、婆焼きって何だよ!と問詰めたが祖母は、

「そこで昔婆焼きがあったんだ……」

というだけで他に何も教えてくれなかった。

結果父はその日らか夜遊びをしなくなった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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