中編5
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学校の放送と町の掟

今から読んで貰うのは実話なので、大したオチはないけどまぁ勘弁して下さい。

俺が通ってた中学校の話なんだけど、大抵どこの学校にも

『学校の七不思議』

とかってあるよな?

ウチの学校にもあったんだが、他の学校とは違ってウチの学校には七不思議どころか十二、三ぐらいの話があった。

そして学校だけじゃなく学校周辺にも色々な怪談話・・・と言うより、事件が頻発していた。

今日はその内の俺の体験を話そうと思う。

俺の家は中学から歩いて一、二分ぐらいの超近所で、俺の部屋の窓を開けて正面に学校が見える。

で、ある夏の晩に幼なじみが家に泊まりに来てたんだが、俺は夜風を入れようと窓を全開にした。

その時丁度、夜9時を告げる放送

(「9時になりました。皆さんおやすみなさい」とか言うアナウンスと共に、音楽が流れる)

が学校から流れ出した。

今考えるとはた迷惑なこの放送は、我が地域では皆知っている戒律を守る為に絶対に必要だったのだろう。

その戒律は、

『9時以降、絶対に中学校の校舎を見てはいけない』

と言う少し変わったものだ。

近所を通る時も、校舎には誰も目を向けない。

しかし、俺はその晩その戒律を破って学校を見てしまった。

窓を開けていたので、放送が聞こえた時ボーっと校舎の方を見ていたんだ。

で、幼なじみのユウトが

「なぁ、9時の放送終わったらさぁ、校舎見ちゃダメな理由って知ってる?」

と訊いて来た。

「見ちゃダメな理由って、お化けが出るとか何とか言われてるからだろう?」

と返すと、ユウトが本当かどうか見てみようと言って来たので俺も軽い気持ちで同意し、放送が終わるのを待った。

毎日聴いてるメロディーが終了したその時、校舎に異変が起こった。

4階建ての校舎内は元々真っ暗だったのだが、放送終了と同時に一斉に豆球を付けたようなほの暗いオレンジの明かりが建物内全てに一斉に灯り、それと同時に何十という黒い人影が一斉に現れユラユラと蠢き出した。

それを見て俺は思った。(お化けが出るって、一人じゃねーのかよ!っていうか黒い人影多すぎ!っていうか、ウチの学校豆球なんてあったっけ?)

ユウトは

「アレ何?」

と言ったきり、校舎に釘付け。

俺は何だかあの人影に俺達が見ている事を知られてはいけない気がして窓をそっと閉めた。

俺が窓を閉めた後、ユウトは何だかボーっとしたカンジでこう言った。

「アレ、何だったんだろなぁ・・・。

なぁ、ちょっと近くまで行って見てみない?」

「ハァ?お前何言ってんだよ?

確かに部屋から見てる分にはあんまり怖くなかったけどさ、近くで見るのはやっぱヤベーだろ?」

俺がそう返すと、ユウトは無表情のまま妙にボーっとした雰囲気で

「そうかなぁ・・・。

案外大丈夫かもよ?

なぁ、行ってみようぜ」

と、更に誘って来る。

俺は何か嫌な予感がして、話題を微妙にズラす事にした。

「そう言えばさぁ、お前のクラスの担任って学校の前で事故ったんだって?」

俺がそう言うと、ユウトは奇妙な含み笑いをしながら答えた。

「ああ。アレね。

だってY先生は掟を破っちゃったから仕方ないんだよ」

俺の背筋に冷たい物が流れる。

(Y先生が掟を破った?俺達のように?

掟を破った事でY先生が事故に遭ったなら、俺達は・・・)

「どういう事なんだ?」

俺は冷や汗が流れるのを感じながらユウトに尋ねる。

ユウトが嫌な感じのクスクス笑いをしながら答える。

「Y先生はねぇ、夜たまたま正門の前を通った時に見ちゃったんだよ、銅像を!」

(銅像を見た?

まさか・・・ユウトはアレの事言ってるのか?)

「銅像って、学校の七不思議の一つの?」

「そうだよぉ。正確には九番目の話だけどねぇ」

嬉しそうに答えるユウトに俺はさっきから違和感を感じまくってる。

(大体なんでユウトが、銅像の話を九番目だと断言出来るんだ?

ってか銅像の話自体は知ってるけど、アレはウチの学校の七不思議の中でも完全にお笑い系のネタだろ?)

学校の七不思議の一つ、銅像の話について説明すると、

ウチの中学の正門から入ってすぐの敷地内には、バレーボールぐらいの大きさのボールを投げようとしている格好の少年の銅像がある。

七不思議によると、夜9時以降に学校の前を通ってもこの銅像を見てはいけない。

見てしまうと銅像がボール(勿論銅像の)を投げて来る、と言うもの。

ちょっと想像して見て欲しい。

充分に笑える図だろ?

どう考えてもいかにもなネタだろ?

だがユウトは奇妙なクスクス笑いを続けながら、

「 あの銅像はねぇ、以前ウチの中学に通ってた〇〇君が、学校に向かう途中に事故で死んじゃったから建てられたんだよぉ」

〇〇君?何それ、初耳。

ユウトはまだ話続けてる。

「それでねぇ、〇〇君はスポーツ万能でその日も部活の試合があったんだって。〇〇君、学校に向かう途中で死んじゃったんだよ。気の毒だろ~?」

気の毒だと思うなら、何でお前はクスクス笑いながら話すんだとツッコミたかったが、ユウトの様子が明らかに変過ぎて言葉が出て来なかった。

「Y先生、当分入院だって。気の毒だよねぇ」

ちっとも気の毒そうじゃない口調で言いながら、ユウトが窓を開けた。

「ねぇ、見てごらんよ」

嬉しそうな顔でユウトが窓の外を指差す。

俺は見たくないのに、つい窓の外を見た。

(何?アレ・・・)

青白い小さな光

(人魂とは全然違う感じだった。上手く表現出来なくてすみません)

が高速で窓の外を行ったり来たりしてる。

俺はつい校舎の方に目をやってしまった。

(嘘だろ!見てる・・・!)

さっき見た時はユラユラと蠢いてた黒い人影達が静止してこっちを見てるように見えた。

俺はもうパニック状態で窓をピシャリと閉めた。

「見つかっちゃったねぇ」

ユウトが嬉しそうに言う。

「始めから見つかってたんだろ!?」

俺はユウトに怒鳴った。

その瞬間にユウトが後ろ向きに倒れた。

ドスンというユウトの倒れる音で、両親が二階の俺の部屋に慌ててやって来た。

俺はその時、妙な絶望感に苛まれてワァワァとみっともなく泣いていた。

父が慌ててユウトに駆け寄り様子を確かめる。

母は泣き喚く俺の両肩を掴んで

「何があったの!?一体どうしたの!?」

と半ばパニクりながら問い詰めて来る。

俺は泣きながら、学校を見てたらユウトが変になったと告げた。

傍目にも判る程両親の顔色が変わった。

「母さん、すぐにユウト君の家に電話しろ!□□家にもな!」

母が青ざめた顔で何度も頷いてから、電話をしに階下へと降りて行った。

その後父はユウトを自分の車に運び、俺にも乗るように促した。

俺が気を失ったままのユウトの隣に座り、母が助手席に乗り込むと父が詳しく話せと言ったので、俺は事情を説明した。

説明を聞き終えると父は、

今からある家に行くからそこでもう一度今の話をするようにと言った。

車で10分程度走ると、父が一軒の家の前で車を停めた。

表札には□□と書いてある。

俺には全く馴染みのない名前だが、先程父が母に電話するように言った家だ。

次でラストです。

怖い話投稿:ホラーテラー 三代 ヒロシさん

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