短編2
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ありがとう

これは、私が高1の時に体験した話です。

その日、私は当時付き合っていた彼に、塾が終わった後、9時にファミレスに呼び出されました。

ストレートに別れを告げられ、私の恋は終わりました。

彼が去った後も、私はひたすら泣き続けていました。

ふと店内を見渡すと、誰もいなくなっていました。

でも、本当に好きだった彼なので、立ち直って、家に帰る気にはなれず、ずっと落ち込んでいました。

すると、一人の女の人がお店にやって来ました。

時計を見ると、11時…

女の人は何故か、私の方に向かって来ました。

女の人「どうしたの?」

女の人は、泣いていた私に優しく声をかけてくれました。

私は女の人に、フラれた事、彼の性格、彼との思い出などを聞いてもらいました。

女の人は真剣に聞いてくれました。

途中であいづちや、アドバイスなども言ってくれました。

一通り話した所で時計を見ると、1時を過ぎていました。

ヤバいと思った私はケータイを見ると、母や父からメールや電話が何件もきていました。

少し遅くなるとは言ってあるけど、さすがに遅くなり過ぎている…

私は「ごめんm(._.)mもうすぐ帰るね」とメールしました。

女の人に話を聞いてもらって、だいぶ楽になったので、お礼を言って帰ろうと思いました。

私「私そろそろ帰らないと…色々ありがとうございました。」

女の人「ちょっと待って!………」

女の人「あなたにこれを…」

と、私に指輪を渡して来ました。

私「指輪?どうして?」

女の人「あなたが持ってて」

私「もらえませんよ!」

女の人「いいの…お願いだから…あなたが持ってて…」

私「………わかりました。………あの、連絡先教えてもらえますか?お礼したいです。」

女の人「またどこかで会えるから大丈夫。」

私「でも、連絡しないと…」

女の人「大丈夫。またお話しましょ。行きなさい。」

私「じゃあ、明日の5時に、ここで待ってますから。また明日」

女の人「さよなら」

翌日、5時にファミレスに行っても、女の人はいませんでした。

その事を友達に話すと…

その人は、数十年前、婚約者が突然事故で亡くなり、後を追って自殺したと…

それ以来、その女の人には会っていません。

私は、あの女の人にもう一度言いたい…

ありがとう………

怖い話投稿:ホラーテラー 奈美さん  

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