中編3
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山の中の小屋 Part2

さらによく見ると、奥のゴザの上にペラペラの万年床置かれてるだけの、寝床らしきところには所々黒いシミが付着していました。

目を近づけると、血にも見えるような…。

床には小鳥の死骸なども落ちていました。

だんだん怖くなってきて、小屋を出て引き戸を閉めた時、少し離れた所から

「おーい!お前ら何やってんだ?こっち来い!」

と、何者かが走ってきてドス太い声で叫んでいました。

これはまずいと本能的に感じて、A君と僕は全力で逃げました。

走りながらも、背後の何者かは罵声を浴びせ続けており、時折何かを投げつけてきました。

逃げ続けた挙げ句、やっと本道に合流した辺りで、追いかけてくる気配は無くなりましたが、

怖かったので僕とA君は自転車の所まで、そのまま休まず走り続けました。

自転車の所まで辿り着き、非常に不味いことに気がつきました。

2台とも空気が抜かれており、チェーンが外されていたのです。

しかも、A君に至っては走っている途中で鍵を落としたらしく、手元に無くなっていました。

「何やってんだよ!」

「しょうがないだろ!自転車置いて行こうぜ!それどころじゃないし!」

自転車ならある程度楽に高速移動できる道を、またもや二人で走っていきました。

もう明らかに追いかけて来ないと判ったので少しは休み休み行きましたが

体力の続く限り早いペースで歩きました。

やっと舗装された道路に出たのは、5時半を少し過ぎていました。

もう歩くのも嫌なので、途中で走ってきたタクシーを拾い、二人で家まで辿り着きました。

まず、A君の自宅のほうが近いので彼はそこで降り、そこから更に5分くらいの自宅前で僕は降りました。

自転車を置いてきた事を離すと、案の定、親には怒られました。

あの小屋の事を話すと母親は気味悪そうな顔して

「それ警察呼んだ方がいい!まともじゃない!」

と言っていましたが、結局呼んだ様子はありませんでした。

その後、自分はもう行くのも嫌なので、父親が自転車を探しに行ってくれましたが、

僕の行った場所には自転車はなかったそうです。

また怒られましたが、とりあえず自転車の紛失届だけは警察に出しました。

それからおかしな事が起こるようになりました。

たびたび家に無言電話が来たりするようになり、A君に聞くとA君の所でも同じように無言電話が来るようになったそうです。

学校に行った時も、一回だけ不審な電話が来ていました。

僕の名前を名指しで、親戚のヤマウチと名乗る人から電話があったと先生から聞きましたが、

自分にはそういう苗字の親戚に心当たりないし、親もそういう苗字の親戚は居ないと言っていました。

考えてみると、校則で自転車へ住所・氏名・学校名などをラベルで貼るのが決まっていたので、サドルの下あたりへ貼っていました。

あれを見て、誰かが悪戯したのか…

もしかして、例の小屋の人か?

一週間後、朝起きると親から、家の前に自転車が置かれていたと言われました。

見ると、確かに例の場所に起きっぱなしにしていた自転車で、パンクとチェーンの状態は壊れたままになっていました。

気味が悪いので、早朝ではあるけどA君に電話をすると、A君の家にも同じように置かれていたそうです。

それから数日後、家で飼っていた猫が殺されて、玄関前に放置されていたり、

ポストを何者かに漁られたりが続きましたが、しばらくすると、それもおさまりました。

ただ、あの時期は何者かに襲撃を受けるのではないかと、ずっとひやひやしており、

ものすごいストレスを感じていました。

今思えば、何か偶然が重なっただけじゃないかとも思えますが、当時はもの凄い恐怖感に襲われたので投稿致しました。

お読み頂き有り難うございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 20年前は高校生さん  

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