中編3
  • 表示切替
  • 使い方

オカアサンタスケテー!!

これは15年程前のちょうど今くらいの時期、

私が高校生の時の夏休みに、実際に体験した話です。

その日私は、

小学生から付き合いのある友達のRと二人で、

Rの家でゲームをしたり、ビデオを見たり、くだらない話をしながらダラダラと過ごしていました。

夕方6時頃だったと思います、

ゲーム等にも飽きた私は一人でベランダに出ました。

Rの実家は、

地主さんだったためお金持ちで、

2階建てではありますが、

ベランダは軽くキャッチボールが出来るくらい広く、

はじの方には、

Rのお父さんがゴルフの練習のために張っているネットがあり、

私はそこでゴルフのドライバー打ちを始めました。

(もちろん当時高校生の私は見よう見まねで)

お金持ちのRの家は、

畑道の奥の行き止まりにあり、

家の裏はちょっとした雑木林で、

雑木林入って10メートル程で、

50メートル程の急斜面、

その下は田んぼの広がるあぜ道でした。

ベランダに張ってあるネットは、

ちょうど裏の雑木林に向かって打つようになっていました。

スポーツ好きの私は、1時間以上も汗だくになりながらドライバー打ちを一人黙々と続けていました。

周りも真っ暗になってきた頃、

Rも夕涼みがてらベランダに出てきて、

ドライバー打ちを続ける私の横に座り込んで、ボーっとしたりしていました。

Rがベランダに出てきて、10分程たった時、

Rが真っ暗な雑木林の方を見ながら、

「今なんか聞こえなかった?」

と言いだしました。

急にそんな事を言われた私は、

じゃっかんビクッとしましたが、

「そんな訳ないだろーっ?!」

と、ドライバー打ちを続けながら、言い返しました。

Rの部屋から少しだけ届く薄明かりの中、

私のドライバー打ちの

「パシュッ」

という音だけがに響いていたのですが、

確かにドライバーとネットに当たる音に紛れて、

雑木林の下の方から何か聞こえたような気がしました。

えっ?!と思い、

「ちょっと静かにしてみようぜ」

と言い、雑木林の方に耳をかたむけてみました…

沈黙が10秒程続いた時、

雑木林の奥の急斜面の下の方から、

「お母さん助けてーっ!」

と小さな男の子の声で、

確実に、かなりはっきりと聞こえました。

あまりにはっきりと聞こえ過ぎたためでしょうか、

Rと私は、うぁっ!と声こそ出したものの、

その場に立ち尽くすと、

間髪入れず、またも

「ギャーッ!!

ウギャーッ!!

お母さん助けてー!!!!」

と、またもはっきりと聞こえてきました。

さすがにパニックになったRと私は、

声にならない声をだしながら、部屋に飛び込みました。

「ヤバイヤバイ、絶対ヤバイ!」

と私はしばらく連呼していたのですが、 Rが冷静に、

「でもほんとに子供が迷い混んでたらどうする?」

と言い、部屋を飛び出し両親に今あった事を伝えいいきました。

なんというか、

あまりはっきりと聞こえ過ぎたため、

冷静になった私も、

確かに子供いたらまずいなとその時は思いました。

Rの両親が雑木林の下の田んぼのあぜ道まで行き、

近所の家にまですべて聞き回ったのですが、

結局迷子になっている子や、帰っていない子は近所周辺には一人もいませんでした。

普通に考えて、

当時高校生だった私達でも、真っ暗過ぎてとても入ろうと思わないような奥まった場所に、

小さな男の子が入り込むような事はまず考えられません。

どう説明したらよいのか分からないのですが、

なにがどうなっても、あんな場所から

「お母さん助けてー」

という声が聞こえるというシチュエーションが考えられませんでした。

伝わりづらい文章で、

非常に申し訳なく思いますが、今この文章を打ちながらもあの声が聞こえた瞬間の事を思い出すと、

寒気がし、全身鳥肌が止まりません。

エピローグとして、

この出来事があった2・3日後に、再びRの家に遊びにいったのですが、

Rのお父さんから、

「こないだの事とは関係ないと思うが、

おれが生まれる少し前だから、

50年近く前なんだがな、

裏の雑木林で、

どこの誰だかわかんない女が首吊ってたらしいんだな…

まぁ関係ないと思うが…」

駄文失礼致しました。

すべて実話です。

怖い話投稿:ホラーテラー パリュウカさん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ