短編2
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業(ごう)

「何でそういう事を言うかなぁ〜」

「はぁ〜?! 何で?だと?

お前 日本語わかんねぇの?」

「・・・・・」

「お前いつも分が悪くなると黙り込むのやめろよ」

「・・・・・」

「お前ずるいよ。本当の事言えよ」

「・・・・・」

『このものは真実は喋らんよ』

「何故ですか?」

『お主にはまだ解らないのか?』

「…解りません」

『このものは真実を話せないのだ』

「どうしてですか?」

『お主とこのものは被害者と加害者だが逆でもあるのだ』

「…あの〜言っている意味が解りません」

『…はぁ〜。困ったものだ。良いか。このものはお主の妻を殺害した』

「そうです。俺の愛する妻をこいつは殺した。

だから俺はこいつに理由を訊いていたんだ」

『しかし、お主もこのものを殺したのだよ』

「!!! 俺がこいつを…殺した?」

『そうだ。警察も捕まえられなかった犯人のこのものを執念でお主は捜し出し

自らの手で復讐を果たしたのだ』

「では俺は妻の無念を晴らせる事ができたのですね?」

『そうだ。だからお主は

ここにいるのだ』

「……ここはどこですか?」

『地獄…だよ』

「…何で? こいつは何も悪くない妻を殺したんだから地獄に落ちて当たり前だよ。

しかし、俺は妻の仕返しをしただけだ。

やられたんだからやり返しただけだ。

何で俺まで地獄に堕ちなきゃいけないんだ?

それに何で俺は死んだんだ?」

『このものの妻にお主は殺されたのだ。

このものの妻は自分の夫がお主の妻を殺した事など知らなかったのだ。

だから突然、夫を殺された妻はお主に復讐したのだ』

「・・・・・」

『なっ? 何も喋れなくなるだろ?

このものも同じだ。

何も言えなくなるのだよ。

負の連鎖は恐ろしいものだ。

ちなみにお主とこのものは前世でも出会っておる。

前世ではお主はこのものを殺めた。

だから今世でお主は逆の立場になる事でカルマが解消されるはずだった。

しかし業が強すぎたのか?

私も想定外だった。

ふたりともすまない。』

神様は謝罪した。

ふたりは頭を下げ地獄の閻魔の後に続き地獄の門へと入っていった。

怖い話投稿:ホラーテラー ナナさん  

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