霊感とかないんだけど、一度だけ怖いめにあった話。

中編4
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霊感とかないんだけど、一度だけ怖いめにあった話。

霊感とかないんで、霊を見たことはない。

でも一度だけ、霊が原因としか思えない体験をした。

当時バイク好きだった私が、夜景を見に、山に走りに行ったときのこと。

うちの地元は中位の都市。山と海の距離が近く、山から海への斜面と平地が住宅地になっている。

つまり、住宅地の山側のきわに上ると、海までズラーッと家やマンションが並んでいるわけ。夜に住宅地の北端(山が北にある)に行くと、建物の明かりがいっぱい見えて、キレイなわけ。

で、夏のある夜、フラッとバイクで山を上っていったのね。

山といってもずーっと住宅地。いつもと違う夜景スポットを探して、適当な道路を上がっていった。

突き当たったので海を見下ろすと、パーッと開けたキレイな景色。しばらく景色を堪能して、うちに戻った。

さて、その夜。

私は和室で、押し入れのふすまを頭側にして、布団に寝転んでいた。

で、仰向けで本を読んでいた。

押し入れの巾は、部屋の長さと同じだけあって、四枚のふすまで部屋と区切ってある形。

よくあるタイプの和室。わかるかな?

そちらを枕に、ふすまから20センチくらい離れて横になっていた。

押し入れの中には服を収納していた。お恥ずかしいことに、その中身がハミ出して、頭の真上のふすまが10センチほど開いてました……。

Tシャツとかがふすまに挟まって、ハミ出てるわけ。

寝る前にキチンと閉めようかな〜と、寝転んだまま開いた隙間を見て、しばらく考えた。

でも、ハミ出たTシャツとかを押し入れに直すのが面倒臭くて、

「ま、いっか!」

そのままにしといた(笑)

再び読書に没頭。

二、三分後かな?頭の上、天井じゃなくてふすまの方向で、

「カタカタカタ……」と音がした。指二本を交互に動かして、タタミを叩くような音。

虫かな?と、また寝転んだまま、頭の上を見た。なにもいない。

…………。なにか違和感を感じた。もう一度首をひねって頭の上を見る。

押し入れのふすまが閉まって、いる。

ガバッと起き上がった。

絶対、さっきは開いていた!服が挟まっていて、閉めるのが面倒って思って開けといたんだもの!なんで閉まってるの?なんで?なんでなんで……!?

ゾーッと足先から毛がそそけ立った。

「こわい!助けて!」と隣の旦那の部屋に飛び込んだ。旦那は平和に寝こけている。むりやり隣にもぐり込み、朝までそこにいた。

朝になっても、ふすまは閉まっていた。とてもじゃないけど開ける気にならない。

何度も、気のせいって思おうとしたけど、ふすまが開いているのをハッキリ意識したのは間違いない。やっぱり勝手に閉まったんだよ、Tシャツを動かして。

霊……としか考えられないよな。

なんて良い霊(笑)閉めてくれるなんて。とか思おうとしても、怖い。

やっぱり怖いよ!押し入れにいるかも、と思ったら、もうその部屋は使いたくないよ!

悩みながら職場へ。職場は女性のパートさんがたくさんいる。

……そういえば、自称霊感持ちの女性がいたな。相談することにした。

「あの〜、〇〇さん、実は●●で……」

事情を説明する。

〇〇さん「ふーん。カエルちゃん、あなた最近、山に行ったでしょ。」

私「行ってないですよ!アウトドア嫌いだし」

あー、いかにも自称霊感者が言いそうなことを!山とか言っときゃ当たると思って!おあいにくさま、私ゃインドアだよ。山なんか行かないよ。と思った。

〇〇さん「そうかなあ。なんか、山で後ろにたくさんの岩がある前に、カエルちゃんが立ってるのが見えたんだけど」

たくさんの岩?

ピシャーッとイメージが浮かんだ。あそこだ!!

私「行きました!山っていうか、住宅地の北の端!」

〇〇さん「うん、行ったでしょ。背後に、岩だか石だかがたくさん無かった?」

私「ありました。あの行き止まりの先……

墓地だ……」

ええ。例の夜景を見た場所、道の突き当たりは、山を切り開いて作った公園墓地の、入り口の門だったんです(笑)

昔から幼稚園や学校でスケッチ遠足とかピクニックに来ていた場所で、ぜんぜん、墓地と認識してなかったんですよ。

言われてみたら霊くらいくっついてきても不思議じゃないよ(笑)!

しかも、〇〇さん(自称呼ばわりしてスイマセン…)がおっしゃる「岩だか石のあつまり」。

私が背にして夜景をみた山門のすぐ中には、無縁仏のための、小さな墓石を積み上げたような塔があるのです。

それだよ……そりゃ夜中に行ったらマズイよ……。

すぐに〇〇さんに対策を聞き、うちで実行しました。

部屋の四隅に盛り塩をして、押し入れを開けて、「出て行け!」って怒鳴るといいよって。

弱い霊が、ちょっとついてきちゃっただけだから、お経とかお祓いほどのことじゃないよ、とのことでした。

そのあと数年、その部屋に住みましたが、怖いこと、不思議なことはその一回だけ。

それ以来、霊っているんだなあと思っています。

この話が人気あったら、同じくらいのネタがもう少し出せます(笑)

もし読みたかったら、人気投票しといてください。

まあ、これがいちばん怖いネタなんですけどね。

読んでくれて、ありがとう。

怖い話投稿:ホラーテラー カエルさん  

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