短編2
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先輩と女の子

 友人が通う大学で知り合った友人の先輩が暇だと言うから、話し下手のくせにこんな話をする羽目になった。

「……うちの母から聞いた話なんすけど、」

 戦争やら日本軍やらのなんたら跡地、みたいな感じで見学できる所が結構あったりするじゃないっすか。母が昔、そんな跡地的な所に友人と行ったみたいなんすね。見学っすよ見学。何が楽しいのか自分にはよくわからないんすけど。

 自分はそこの部分の話しか聞いてないんでどんな場所なのかは想像つかないんすけども、とりあえず、そこは通路だったみたいで。ついでに少しばかり薄暗いと。どうやら実際に軍の方々が行き来してた所みたいなんすね、すみません、正直場所の話は軽く流された感じでよく覚えてないんすわ。

 あ、っと。ですね、迷子が出たんすよ。迷子。ああ、違うや、その前にうちの母と友人が女の子に出会ったんです。通路で。壁に向かって立ってるんすよ、小さい女の子が。こんな所に子供が一人で見学に来るのはおかしいってことで、母と友人は声をかけたと。

 いやいや、女の子がお化けだったってわけじゃなく、その子が迷子だったんすよ。女の子と話してる途中で係員さんと親御さんが探しに来て、親御さんともちょいと話しした後別れたと。

 不思議なのは、別れる前の話しなんす。母と友人と、その女の子のですね。

 その時母は、

「なにしてるの?」

 と声をかけたんです。その子は、

「お話してたの」

 と返してですね。私としては誰とだよ、怖いよお化けフラグかよ、と思ったんすが、案の定、

「誰と?」

 とさらに訊くと、壁を指差し、

「おじさんと」

 なんてこった。話し相手って完全にお化けじゃないっすか壁方向には壁しかないですよ人なんていないはずっすよ!

 その後やって来た親御さん曰く、なんかその子、よくいなくなるみたいで。迷子の常習犯ってヤツっすね。いったい何に興味持ってうろうろしてるんだか。

 そうだ、一番不思議なのが、最後、親御さん到着直前に女の子が、

「なにしてるの?」

 話の途中で私に声をかけたのは友人だった。方向音痴が災いし大学内で迷子になっていた私をわざわざ探しに来てくれたらしい。

「話してたんだ」

 そう答えると、友人は怪訝そうに首を傾げる。

「誰と?」

 

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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