短編1
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先輩と幼女

 友人が通う大学で知り合った友人の先輩が続きはと言うから、話し下手のくせに最後まで話す羽目になった。

 どこまで話したか、と記憶を探る。先輩に話していたのは母からきいた話だ。

 確か、誰もいない壁に向かって女の子が話していた話。誰と話しているの、という母の問いに彼女は誰もいない壁を指差し、「おじさんと」と答えた。

 それだけでも不思議だが、母が訊いた最後の質問の答えが一番不思議に思えた。

「『何を話していたの?』って、母は訊いたんすよ、これが最後の質問っすね。その答えがおかしかった。

『おじさんが××××××って言ってるの』

 そう、女の子が言うんす。……確かに口は動いてるんすよ、でも、聞き取れない。声が小さかったわけじゃないんす、あの子ははっきりと答えてたって母も言ってました。……聞こえたのは間違いない、けども、理解出来なかったと。

 あの子、そのおじさんと何話してたんすかねぇ……」

 話は終わりです、と締めくくると、先輩はふーん、と呟き、真顔で続けた。

「理解出来ない程の卑猥な言葉を幼女の口から吐かせるとは、その男なかなかやってくれるな」

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怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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