短編2
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金魚

当時まだ1才だった娘を連れて夏祭りに行った時の話です。

屋台を見ていると金魚すくいがありました。

娘にも何か生き物に触れて欲しいと思い、何回か失敗しながら1匹の金魚を取って帰ったのです。

金魚鉢に入れて部屋に置くと、娘は珍しいのか近寄っていって中を眺めています。

まだ言葉を話せないのに、金魚とあわせて口をパクパクさせてまるで会話している様でした。

かわいいなと思っていた途端、何故か娘が火がついたように泣き出したのです。

赤ん坊ですからよくあることなんですが、いくらあやしてもなかなか泣き止まず理由もわかりません。

その日から娘は絶対に金魚に近づかなくなりました。

無理に近くに連れて行っても泣き出して離れてしなうのです。

特に気にも留めていなかったのですが、ある午後、娘の昼寝中に部屋で一人ぼーっとしていた時、ふと金魚と娘のことが気にとまりました。

この金魚、何か変なところでもあるのかしら?

そう思って、金魚鉢を覗き込んだんですが、金魚はただ口をパクパクさせるだけ。

かわいいものだと見つめていたその時、何気なく部屋の電気で反射して金魚鉢に映ったものを見て、私は全身の毛が総毛だつのがわかりました。

そこには、私の顔と、部屋の景色と、それから、私の右肩からのぞく、しらない男のひとの顔が映っていたのです。

そして何より驚いたのは、鉢の中の金魚のパクパクという口の動きと、その男のひとの口の動きがまったく同じだったこと。

あの金魚は一体なんだったのか。

金魚鉢に映った男の人は誰だったのか。

近くの川に金魚を放してからもう5年たちますが、未だに金魚を見るとあの男性の顔を思い出します。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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