中編3
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匂い

夜中1時30分頃。

蒸し暑い夏の夜。

高校3年生の夏休み。

最後の思い出と5人で車に乗る。

駐車場に着いた。

昼間でも観光客は少ないだろう。

雑誌を広げ、どこへいくかを決めた。

茨城県の某山。

皆さんも聞いたことがあるだろう。

○しろ山。

車一台しか通れない道。

駐車場脇の入口から入りこみ山道を進む。

途中井戸が二つある。

車を降りて覗いているあほが2人いる。

俺は怖くて降りれない。

耳鳴りがしていたから。

「夜中」でも記載したが俺には

霊は見えないがそのかわりに感じると耳鳴りがして肩が重くなる。

蛇行するが「夜中」で姿形がわかった理由を言おう。

子供が喋っていた内容、

笑っていた内容、

指を指していた内容。

子供と同調してしまった。

夜中の3時に起こされる前、

毎晩夢に出てきた。

パズルのピースのように頭の中でイメージを繋げられた。

初めは母親といるが、知らないおじさんが現れる。

母親をとられまいと必死で母親にかまってとせがむ。

その都度おじさんに蹴られ、殴られ、しまいには服を剥がれた。

暴力は酷くなり最後は天井から母親、おじさん、子供をみるアングルで終わる。

毎日だ。

子供の目は虚ろで皮膚が紫がかっている。

目が覚めるとその子供が俺と妻の間にいる。

最悪な気分だ。

よくある話。

そうゆう奴がいるなら代われ。

毎日はしんどい。

ちなみにこれは後の話だ。

当時の俺は最強だった。

とゆうか場所がヤバい所が多かったのかもしれない。

学校、病院、実家…。

それは機会があれば話をしたい。

話を戻すが井戸には近づけないのであほ2人をほっとく。

戻ってきたが平然としている。

「ほんとのあほだ」

と心の中で思い車を走らせた。

井戸の先にはトンネルがある。

そこでエンジンを停めてクラクションを三回鳴らす。

真っ暗なトンネル内。

虫の音しか聞こえない。

周りを見渡すが何も起きない。

「ぎゃー!!」

あまりにも何もなかったので運転手の俺は叫んでビビらす。

慌てる素振りでエンジンをかけトンネルをでる。

他の4人は意味もわからず叫んでいる。

面白い。

本来はフロントガラスに手跡が無数に残っていたり、落武者が現れたりとするらしいが何も無い。

皆に殴られた。

当然だ。

ただ耳鳴りもしなかった。

次は最後の井戸。

ここでもあほ2人は活躍した。

楽しそうに踊っている。

俺も耳鳴りもしなかった。

横目で見ていた。

何もない。

安心していた。

だがいつもとは違っていた。

匂い。

線香の匂い。

漂ってきた。

勘違いだろう。

そう思っていた。

だが違うようだ。

辺りに人がいる気配もない。

徐々に匂いが強くなってくる。

やばいのか?

わからない。

ただ頭痛がしてきた。

われそうなくらい。

早く戻ってきてくれ。

楽しそうに踊っているあほを手で招く。

限界だ。

そう思っていたやさき。

今度はお経が聞こえてきた。

今までにない経験。

頭痛が酷くなる。

本当にやばい。

残りの力を振り絞り叫んだ。

「ぎゃー」

2回目だ。

さすがに通じないと思ったが走ってくる。

猛ダッシュ。

限界ギリギリの俺は助かった。

無事に山を降りた。

皆さんも見たことがあるだろう。

道路脇に添えられた花。

踏切に添えられた花。

事故があった場所。

さ○ろ山の件以来、匂いもアンテナになった。

線香の匂い。

鼻につく。

ふと横を見ると花が添えてある。

おじいちゃんが亡くなる前。

友達が亡くなる前。

死臭と共に線香の匂いがした。

あなたも嗅いでみてほしい。

線香の匂いがしたら気を付けて。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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