友達の家にいった帰り道、私は道に迷っていました。
慣れない土地。その上重度の方向音痴。その上周りに人もいない……
しかし最近は便利なもので携帯にナビ機能があるため、それを頼りに帰ることにしました。
地図を見てみたら目的地(駅)は案外近くのようでした。
私は携帯の画面に写し出された地図だけを頼りに、しばらく歩きました。
途中、自転車に乗った親子とすれ違いました。
空は暗くなり始めていました。
「……あれ、おかしいな」
携帯によればもうすぐ目的地のはずなのに、辺りは住宅街から離れてどんどん草むらに入っていました。
さすがに不安になってきました。
しかし携帯の画面の矢印は確実に目的地に近づいています。
空はどんどん暗くなっていきます。
『目的地到着』
……携帯は『目的地』を示していました。
しかしそこに広がっていたのは荒れた空き地……。
その空き地に着いた時からなぜか鳥肌が立っていました。
異様な雰囲気でした。草むらの中に突然現れた真っ暗闇の空き地……
よくわかりませんが「ここにいてはまずい」という信号が働きました。
気持ち悪さから逃れるため来た道をとりあえず早足で戻りました。
辺りは草むらから住宅街になっていきました。
「何だったんだろ……」
まだ少し鳥肌が立っていましたが、住宅街に戻れたことで私は安心しました。
ふと前を見ると、さっきすれ違った自転車の親子がいました。
すれ違う時、じっと私を見ていた男の子がお母さんに言いました。
「ねぇ、あの人たちまだいるよ」
……あの人『たち』って……。
怖い話投稿:ホラーテラー 青さん
作者怖話