短編2
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一人なのに……

友達の家にいった帰り道、私は道に迷っていました。

慣れない土地。その上重度の方向音痴。その上周りに人もいない……

しかし最近は便利なもので携帯にナビ機能があるため、それを頼りに帰ることにしました。

地図を見てみたら目的地(駅)は案外近くのようでした。

私は携帯の画面に写し出された地図だけを頼りに、しばらく歩きました。

途中、自転車に乗った親子とすれ違いました。

空は暗くなり始めていました。

「……あれ、おかしいな」

携帯によればもうすぐ目的地のはずなのに、辺りは住宅街から離れてどんどん草むらに入っていました。

さすがに不安になってきました。

しかし携帯の画面の矢印は確実に目的地に近づいています。

空はどんどん暗くなっていきます。

『目的地到着』

……携帯は『目的地』を示していました。

しかしそこに広がっていたのは荒れた空き地……。

その空き地に着いた時からなぜか鳥肌が立っていました。

異様な雰囲気でした。草むらの中に突然現れた真っ暗闇の空き地……

よくわかりませんが「ここにいてはまずい」という信号が働きました。

気持ち悪さから逃れるため来た道をとりあえず早足で戻りました。

辺りは草むらから住宅街になっていきました。

「何だったんだろ……」

まだ少し鳥肌が立っていましたが、住宅街に戻れたことで私は安心しました。

ふと前を見ると、さっきすれ違った自転車の親子がいました。

すれ違う時、じっと私を見ていた男の子がお母さんに言いました。

「ねぇ、あの人たちまだいるよ」

……あの人『たち』って……。

怖い話投稿:ホラーテラー 青さん  

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