《忌》の家【最初の家主】

中編3
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《忌》の家【最初の家主】

この家を建てられた最初の家主はこの土地に根強いている武士の末裔である。

元々は武家屋敷が建っていたのだが、戦争で焼けて無くなった。

街の者も地元のお殿様と崇めていた。

家主の祖父は県会議員でもあったほどの名家である。

家主が結婚をして子供が産まれたので、家を新たに建てられたのだ。

家が建てられたのは昭和23年頃…。

それからは地元の発展に精を出していたそうだ。

町内会長をやり、次は市会議員か?と言う話が立ち始めた頃、ある事件が起きた。

奥方が変な宗教にはまっており、親戚・友人・はたまた近所の者にも勧誘したり、宗教グッズを買わないかと進めていたりしていた。

そんな話がたちまち街中に広がり、この家族に近寄らなくなっていた。

家主は次の市会議員選挙に立候補しようと思った矢先にそんな噂が流れたもんだから奥方に激怒…。

辞めてほしいと頼んだ家主だったが、一向に辞める気配がない奥方。

家主は立候補を取り止めたのだった。

その頃だった…。

屋敷で働いていた使用人やお手伝いさんが辞めていき、そのうちに奥方おろか、娘まで見なくなった。

たまに家主を見かける程度。

しかし、挨拶しても返事が返って来る事は無く、それどころか見る影も無いくらい別人のようになってしまった…。

そのうちに家主まで見かけなくなっていた。

そんなある日…。

屋敷に無数の警察、救急車が来ていた。

庭で家主が死んでいたらしい。それも…切腹。

奥方と娘も遺体で発見された。

庭に池があり、そこにコンクリートで埋められていたそうだ。

それは見るも無惨な死顔だったそうだ。

二人共、毛布に包まれていたらしい。

家主の遺書も見つかり、二人を殺害したのは家主本人と書かれていた。

理由は書かれてはいなかったらしい…。

そこには、二人に対しての詫びの言葉も綴られていたそうだ。

最後に、《生きて恥るより、死して償うべし…。》

そう書いてあった…。

しかし、ここで一見落着ではなかった…。

おかしな事に家主は一人で切腹した。家主以外、人が入った形跡が無いうえに、中に入れる塀の高さではなかった。

それは警察の検証でもはっきりした事であった。

おかしな点はひとつ…。切腹した後に屋根瓦が落ち、家主の首が取れていた。

そう…、あたかも誰かが介錯したような形で首が切断されているのであった。

偶然なのか、必然なのか…。誰もが解らない事だったのだ…。

幸か不幸か、この家には娘が二人いた…。

殺されたのは次女・10歳だった。長女・16歳は全寮制の附属高校に通っていた為、免れていた。

屋敷は売却され、残された長女は親戚に預けられたそうだ。

月日は経ち、屋敷は綺麗になっていた。不動産屋が外壁から内装・庭に至るまでリフォームしたらしい…。

周りの景色も少しずつ変わり始めた頃、あの屋敷は売れた…。

あの屋敷を購入した、その家族は春まばゆい季節…。この街に引っ越して来たのだった…。 

そして…この屋敷に係わる人々の地獄が始まるのだ。

つづく

怖い話投稿:ホラーテラー 珠唸童子さん  

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