中編3
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くもの糸

僕が小学校低学年の頃の話だ。

学校も終わり、僕は一人帰り道を歩いていた。そして、ふとした何気ない思い付きから、今日は別のルートで家まで帰ろう、と決めた。

いつもは使わない、人通りの少ない山沿いの道。家までは大分遠回りだけど、僕は随分楽しげに歩いていた記憶がある。昔は、そういう無意味なことに楽しさを見い出す子供だったのだ。

さて、そんないつもと違う帰り道。僕はふと、ある不思議なものを見つけた。車一台分の幅しかない道、進行方向に対して左は林で、右は小さな池だったのだけど。その右の池から、何やら白く細いものが、空に向かって伸びていた。

その時の僕が『空に向かって伸びている』と思ったのは、単純な話、空に何にもなかったからだ。木々の枝が伸びているわけじゃない。飛行機が、鳥が飛んでいるわけでもない。

最初、僕は煙かな、と思った。でも水のある池から煙というのもおかしい。別に水面に浮かぶ水草が燃えているわけでもないようだった。

ガードレールに腕を乗せ、僕はその白い細い物体をじっと見つめた。

それは、どうやら、糸の様だった。白い糸だ。

僕は白い糸を辿って空を見上げた。白い糸は、上空に行けばいくほど、空に点在していた雲と同化して見えなくなる。

天へと伸びる糸。

当然、不思議だなあと思った。けれど、その時の僕には、でもそこにあって見えるんだから仕方ないだろう、という確固たる諦めがあった。

見上げていると、上空で、チカ、と何か光った気がした。

時間がたつにつれ、光ははっきり見えるようになった。

糸を辿って、空から光が降りてきていた。

太陽の光を鏡で反射させた時の様な、目に刺さる光だった。

光は点滅していて、目の上に手をかざしてよくよく見ると、その上に糸は無かった。

僕は身を乗り出し、その光を良く見ようとした。

ランドセルが重かったのが、原因だと思う。

僕はその瞬間、バランスを崩して、頭から池に落ちた。

でもそこで不思議なことが起こった。

僕は頭から池に落ちた。でも、水面に顔が触れた瞬間、僕は『水の中から顔を出していた』

タイムラグは無い。記憶違いでもないと思う。

惰性で、僕はいったんお腹のあたりまで水面から飛び出すと、また重力で頭まで沈んだ。

今度は、普通に、水の中だった。

ここは当然、パニックに陥り溺れかけるべきなのだろうけれど、僕は割と冷静だった。池は背伸びすれば足がそこに届くくらいの深さだった。

ランドセルが背になかったので、目をぬぐいながら、手探りで見つけて、また背負った。

不思議な体験だったなあ。と思いながら、僕は池から道路に上がった。最後にもう一度池を振り返ったけれど。糸はもう伸びてはいなかった。

そして、その帰り道、僕は何故か帰り道を間違え、家に帰るのがだいぶん遅くなった。

家に帰ると母は、びしょ濡れで帰ってきた息子に驚いた様子で「あらまあ……、なんぞね、そら」と訊いてきた。

僕は、「つられた」とだけ答えた。

その日からだった。僕が、文字の読み書きが出来なくなったのは。

先生も困り顔だったが、僕は、あの時池に落ちたせいで頭が悪くなったのだ。と、勝手に思うことにした。

文字の問題は、その後普通にできるようになった。

その後、僕が池に落ちてから一週間くらい経ったある日のこと。あの池から、子供の水死体が見つかった。

不思議だったのは、その一週間の間、街の近辺で行方不明となった子供がいなかったこと。だから発見も遅れた。

持ち物は持っておらず、何処の、誰の子供かも分からず。その身元不明の死体は、一時期話のタネになった。

そして、僕はと言うと、今でも、健康診断の際は聴診器を持った先生に「?」という顔をさせている。

心臓の位置が、少しだけおかしいのだそうだ。

怖い話投稿:ホラーテラー なつのさん  

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不思議な話ですね。子供の頃って不思議な事に遭遇したりみたりする事ありますよね。大人になると、そういう事が無くなっていきますね。

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ネタバレ注意

逆さの世界、つまり俺たちから見た鏡の世界からきたってこと?

蜘蛛の糸って、菩薩様がたらしたあの糸?
ならば亡くなる予定を助けられたのかな

どういうこっちゃ?

これはいったいどう言う話?

って〜ことは
読み書きができないやつが入れば
できるようになるわけだ

なつのさん凄いです(>_<)

なつのさんのお話、大人気ですね。
私も大好きです( ´ ▽ ` )