中編4
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部屋と写真とじいさん

再び投稿。話はまた高校時代に遡る。

高校二年にあがった自分はいっぱしに彼女が出来き、大人への階段を少しずつあがったり、バイトしたり、バンドしたり、バイクしたり、青春を満喫していた。

バイクチームも後輩達の加入もあり、そこそこ知られるチームになった。

バンドもBOOWYのコピーから始まりオリジナルに触りライブもするようになった。ギターの道を諦めた自分はヴォーカルとしての才能を開花させようとしていた。

ただ……

相変わらず、部屋(プレハブ)は怖かった…

麻雀をしていても、飲み会をしていても、仲間の恋愛相談を聞いていても、彼女との営みをしていても、ラップ音攻撃やら砂嵐攻撃やら金縛り攻撃が続いた。

ある日、飲み会をしていた。飲み方を知らないバカ者の自分達は見栄をはって、一気のみやらチャンポンやら、「飲んだら吐け〜、吐いたら飲め〜」を合言葉に無茶をしていた。

前回の話でモヤモヤにやられ、死にかけた仲間が、限界を迎え、吐きに出た。

いつもは我が家の前の川に吐くのがルールなのだが、そいつは間に合わず、プレハブのすぐ横にある古い木の根元に吐いた。

忘れもしないその日、モヤモヤが本気を出した。

時間は2時過ぎ、いつもの様にラップ音が始まった。「ピシッピシッ」

生きている(起きている)仲間は自分を含め四人。あと二人は酔い潰れて寝ている。

すると……ラップ音に混ざり「コンッ コンッ」

ん?ノック?

「コンコン」

誰か来たのか?

ガチャ

開けてみるが誰もいない。

ドアを閉めると再び

「コンッ コンッ」

ガチャ!…… いない…

なんか…ヤバい

「コンコンッ コンコンッ コンコンッ コンコンッ コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン」

音は部屋の外周を回るように激しく鳴り続けた。

「うるせー!」「バン!」ドアを強く開け怒鳴った。

…母屋の灯りがつき、母ちゃんが来た。「あんたら、いい加減にしなさい」

「ご、ごめん。で、でも今それどころじゃなくて…ごめん!」と言ってドアを閉めた。

「コンッ コンッ コ」

「ドンッ ドン」

なんか勢いが強くなってる。なんか…やばい…

蛍光灯がチカチカ…ラップ音が激しくなる。

仲間の一人は泣き、一人は部屋で嘔吐しはじめた。

自分は…

たったまま動けない…

部屋がグニャっとした感じになる、点けっぱなしのテレビは半砂嵐状態で「ピーーガガー」とチューニング途中のラジオの様な奇妙な音をたてる。

半開きのカーテンにモヤモヤが見えた。

じっと部屋を見ている感じ。

もう一人の仲間が言った

「み、見えた… じいさんだ… なんか死神みたいな」

自分にはモヤモヤにしか見えない。照明はまだチカチカしている。自分は机の上に置いてあった、インスタントカメラのフラッシュスイッチをオンにする…

「ピュイーン」

カシャッ、カリカリ

カシャッ、カリカリ

二枚撮った。見たかった。自分達を攻撃してきた犯人を…

見れば解決するような気がしたからだ。

部屋にフラッシュが二回走り、それと共に部屋に静けさが戻った。蛍光灯も白く輝き、テレビは通常に映っていた。ただビデオは…

2時13分を示したままだ…

「俺、撮った。多分、撮れた。」

ふー、深く息をつき、タバコを吸う。

ふと部屋を見ると、まさに地獄絵図。寝てたやつも嘔吐しており、悲惨な状態になっていた。

そのまま朝まで眠らず過ごし、明け方から全員で掃除・洗浄と、親への謝罪。そして、近所のコンビニ、ホット○パーへと向かい、写真の現像を頼んだ。

翌日、じいさんを見た仲間と二人で○パーへ。

峠攻めの写真に混ざり、部屋の写真があった。

……いた

吐き出し冊子の外、仲間が嘔吐した木が写り込んでいるいる部分に

神主のような烏帽子を被ったじいさんだ。

目は窪んでおり、頬はこけて、まさに漫画の死神だ。

「これか……モヤモヤこれか……」「なんだ…これ」

これがあの、俗にいうアレか?

生まれて初めて見た「なまのお化け」あ、生じゃない、写真だ。

さすがにこれはまずいと思い、両親に相談。隣町にあるちゃんとした寺に相談に行った。

「ふむ、取り敢えずお宅を見に行きます」ということで仲間?弟子?を二人連れ家に来た。早速、プレハブを見て、横の古い木を見て

「古くから自縛されているものがいます。恐らくこの建物(プレハブ)を建てた事で霊障が出たのでしょう」

それからは…さすがプロ?というべきか、何やらお祓いの段取り→お祓い→木の切断→お祈り?

と滞りなく儀式が進行していった。

お坊さんが、供養終えた後に言った。

「このような者たちの世界はありますが、生あるものの干渉は災いを生みます。決して自ら干渉したり、その世界を覗こうとしないことです。しばらくはそういう体験もありましょうが、気にせず生活する事です。」といった内容の話をしてくれた。

まあ、要は自ら進んで干渉するなということなんだと感じた。

写真は、お坊さんに預け、一連の出来事は解決した。

自分の恐怖体験は一時、閉幕した。

自ら干渉をしはじめるまで……

その話はまた今度。

またまた長文失礼しました。

(結局、2時13分の謎は、謎のままでした。坊さんにも聞いてません。)

怖い話投稿:ホラーテラー 沙羅さん  

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