鎖された街 ~消えた人~

短編2
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鎖された街 ~消えた人~

「なんだ?体中が痛ぇ・・・」

痛みから目が覚めた。

上には白い天井 腕には点滴の針がいくつか刺してある

周りには誰も居なく幾つもの機械が並んでいた どうやら病院らしい

曖昧な意識で日にちを表示しているデジタル時計をみた 24日

「24日?そうか俺は一週間も眠っていたのか」

時をさかのぼること一週間前になる

イギリス マンチェスター

俺はいつものように愛する妻と子供の頬にキスをし会社に出勤しようとしていた。

会社は車で30分位のところにある

車を走らせ会社にむかった 信号につかまり最前列で停車していた

前から大きなコンテナを積んだトレーラーが走ってくる 

が、スピードがおかしい

そろそろブレーキしないと止まれないぞ と、思った時にはもう遅く最前列の俺の車に突っ込んできた 車はペシャンコになり2,3回転がった

「うぅ、、痛ぇ・・・畜生・・・」

救急隊「喋るな!今助けてやるぞ!!」

  ・・・・・

「そうか俺は事故ったんだったな しかしなぜこんなに静かなんだ?」

手元にあったナースコールを押す しかし誰も来ない 静かすぎる・・・

 「まあいい、そのうち来るだろう もう一度寝るか・・・」

何時間寝ただろう 自然と目が覚めた

時刻は8:23

ナースコールをもう一度押す しかし誰もこない

相変わらず静かだ

点滴の袋を見る もう空っぽで液も落ちていなかった

「いいさ、自分で抜いてやるさ・・・」

案外簡単に抜けた

足にはギブスがしてあったがもう痛みは引いていたようだった

一応手元にあった松葉杖をもち病室を出る

「なにがあったんだ?」

床に落ちている無数の紙、ゴミ・・・

まるで何かから逃げた後のように病院内は荒れていた 

しかし誰も居なかった

外の様子が急に気になり急いで外に向かう

「なんだこれは!?」

声には出していないが心の中で何度もそう叫んだ

 

人一人居ない・・・

道路には沢山のゴミがおちており 車も一台も走っていない 公園にある時計はとまっている

電気が通っていないのか?

「誰か居るかぁー!!」

何度も叫んだが全く返事がない 

「朝なのになんだこの薄暗さは・・・」

街の状況からして人は全員どこかへ行ってしまったらしい

不意に家族のことが心配になった

「どうか居てくれ!」

そんな思いを胸に薄暗い街の中に一人の男は消えていった

怖い話投稿:ホラーテラー ジャンさん  

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